半分の月がのぼる空 Looking up at the half-moon
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橋本氏が”普通”のお話を書くとここまで綺麗な物語が出来上がるのかと思い知らされた作品。一人称の文体で語られる主人公の気持ちと儚くも綺麗な情景が心の琴線に触れてきます。 |
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AHEADシリーズ 終わりのクロニクル 2<下>
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川上稔氏の作品の魅力は複雑な世界観や個性的なキャラクターたちは勿論のこと、読者の心に力強く響いてくる"テーマ"というのも忘れてはならないと思います。個人的にはライトノベルの範疇でここまでテーマがしっかりしている作品は滅多にないと思います。 都市シリーズから一貫して描かれる川上作品のテーマを自分なりに言葉で表すと「問いかけと答えを出すこと、それによる自己証明、そして成長」といった感じになるでしょうか。AHEADシリーズは今も尚話が続いていますが、現時点でシリーズ中もっともテーマが強く感じられるのはこの『終わりのクロニクル 2<下>』であると自分は思います。
それまで自分の抱える"嘘"のためどこか一歩引いた感があった新庄がこの巻では佐山と真正面から向き合い、共に全竜交渉で他のGと向き合っていくことを決意します。それまで自らの本当の名前を不吉なものと考えていた新庄が佐山と共に在ることで自分の名を受け入れ、そして"名が力を持つ"2nd-Gとの戦闘で力強く一歩前に踏み出し成長した姿には感慨深さ、清々しさを感じます。
また、ストーリー的な面でも把握しきれないくらいの伏線を至るところに張り巡らされていたり、個性的な敵側のキャラクターたちが密かに暗躍を始めていたりと今後の展開に対する期待感をじわじわと高めてくれます。
そしてラストではイラストの相乗効果ありまくりの一言でじわっと感動を与えて締め括る…もう堪りませんね(笑) |
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イリヤの空、UFOの夏 その4
(イラスト評)
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駒都えーじさんのイラストが作品のイメージに合っていて良いというのは勿論なんですが、個人的には絵そのものだけでなくデザイン面を高く評価したいです。映画の告知ポスターのような口絵、扉絵にのみ絞った挿絵、共に素晴らしいの一言。 正直な話、この作品に挿絵をバンバン投入されていたら自分は逆に萎えてしまっていたかもしれません。秋山瑞人氏はイラストの力を借りなくても圧倒的な情景描写力で読み手を引き込んでくれる作家さんですが、この作品では駒都えーじさんのイラストが作品のイメージ、雰囲気を視覚的に印象付けることによって文章とイラストが相乗効果で互いに一番巧く魅力を引き立て合ってくれていたと思います。
個人的には鎌部善彦さんのデザインの中では最高傑作。 |
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