トップページ > 京都対談 > 対談 第二回 |
※児童文学について 書き起こし役の浅学にて、児童文学の固有名詞がわからずほとんど書き起こせませんでした。関係者の方には深くおわび申し上げます。 |
【これまでの読書経験について】 ──本を何を読んできたか聞きたいという要望が出てるんですけど。子供のころから。 有:子供のころはわりと普通に児童文学だったんですね。 (※児童文学についての話。ちょっと割愛) ──じゃあそれで、ライトノベルの方に? 有:小六のころに友達にコバルトを借りて。それではまったっていう。 ──当時ライトノベルとか言わなかったと思うんですけど、それはSFとか思わずにもうわりとその辺はコバルト系ソノラマ系の新人に? それからまた別の一般小説を読んだりとか? 有:一般小説を読み始めたのは大学ぐらいからで、一回挫折して書くのを止めちゃったときにライトノベルを読むのも辛くて離れちゃったんで。 ──ああ、じゃあ出てくるならこのへんのところででデビューしたいという。 有:そっち系しかあんまり出してなかったですね。ライトノベルの懐の広さみたいなものに惹かれてたのかも。 |
※テーブルトークRPG テレビゲームの一種ではない。文字通り、役割を演じることで進めていく非電源系のゲームの一種。 ダンジョン&ドラゴンズや、ソードワールドなどが有名。 ※グループSNE 安田均が中心になって設立した、ゲームを中心とした創作集団。ゲーム及びゲームから派生した小説の多くを手がけている。日本のTRPGの偉い会社。水野良はここの出身。 HPはこちら。 ※ソードワールド テーブルトークRPGの世界の一つ。これを元にした小説としては、ロードス島戦記や魔法戦士リウイ(共に水野良著)等が有名。 |
──長谷さんは? 長:僕はどっちかっていうと中学時代とかのソノラマとか、ちょうど出たてのころのロードスとかを読んでた時期が一番本を読んでた時期ですね。たぶんそうですね。僕が読んでたっていうのはどっちかというと、ずっと学生時代※テーブルトークRPG系の人だったんで、ちょうどコンプティークでロードス島が始まった時期から読んでて。お金がなかったんで、ダンジョン&ドラゴンズとか買えずに文庫のやつを買って読んでた。 ──リプレイを読み? 長:リプレイを読み。ゲームブックとかそんなんばっか読んでましたね。まともな児童文学とかも実は僕の方は読んでなかったタイプで。児童文学とかっていうと、ほんとにテーブルトークRPGの資料になるもんにしかよんでなかった。 (みんな笑う) 有:そこまで潔いんですね。 長:潔いですね。ホビットの冒険を読んだ次は、指輪物語とかって感じに。一種の資料だと思えたから、ホビットの葉巻草のくだりとか平気でしたからね。資料です資料。一種の資料だとおもっていたから簡単だった。 ──アビリティーを得るために? 長:まあそんな感じで。児童文学も読んでないし、ライトノベルもテーブルトークRPG系中心で。もう高校生くらいのときは※グループSNEは神様という状態で、(みんな笑う)ちょうど大学に入ると、グループSNE反抗期になって。「※ソードワールドなんてガキのするゲームだ!」という風に。 有:わたしなんかルールが理解できるのはソードワールドまでですが。ダイスが増えるとわけがわからない。 ──それは答えてもいいんですかね 長:もうそのへんは推敲の時にダメそうだったら切りますんで僕は。そんな痛いテーブルトークRPGファンの道を普通に歩いてきました。小説は本当にあれなんですよ。新井素子さんとか、結構そろえて読んでるかたもいるんですけど、作家さんで読んでないんですよね。見た目の印象で、資料になるか評判良いとかそうした読み方が多いんで。たいてい作家さんを追いかけてゆくような、流れがあるじゃないですか。でも、僕は読書の流れがまったく無かったですね。ぽつんぽつんとつまんで読んで。もう完全にあれですね。本当に読書経歴っていうほどの流れをつけられないくらいですね。 ──まあゲームから見たらそれは。 長:ゲームをするための資料っていうかんじの、もうそれこそソーサリーとロードス島を同列に並べるような──。あ、ごめんなさい。ソーサリーって言ってもわからない方けっこう多いと思われますけど。そういう有名なゲームブックあるんですよ。うーん「読書経歴って何だろう」っていう感じで。 |
※黒い季節 冲方丁 著 角川書店 刊 ハードカバー。天野喜孝さんのイラストが目印。あまりにも入手困難な作品であるため、ファンの間では文庫化が強く望まれている。 →amazon →bk1 ※新居昭乃 公式ページはこちら。 |
──じゃそれが、何故スニーカーに? スニーカーに投稿したのは意味があるわけですよね? 長:ええとね、書いたら270枚しかなかったんですよね。270枚で応募できるところって当時なかったんですよ。 ──ああ、 長:カテゴリーエラーってよくいうじゃないですか? カテゴリーが合ってないとそれは評価外なんだっていう話はよく聞いたんで。たぶんライトノベル系で一般小説系じゃないんだろうなとは思ってたんですけど、カテゴリーエラーが怖かったんで、一応賞の傾向で見ておこうって第一回のとこだけ探して。ちょうど第一回で金賞頂いておられた冲方先生の黒い季節※を読んだら、「ここはきっとカテゴリーエラー問題無いに違いない」って思って、スニーカーさんに。(会場湧く)。 ──じゃあ冲方先生のお陰で? 長:冲方先生のお陰でございます、実は(礼)。冲方先生が第一回に入っていなかったら、ひょっとしたら80枚足して別のとこに送ったかも知れない。 ──なるほど。 長:なんかとっ散らかった話の仕方で。 ──いえ、なんだかみなさん、共感呼んでるみたいで。 長:ダメ人間ぼくて本当に。 ──投稿作、どのくらいの期間で書き上げたんですか? 長谷さんから。 長:ぼくですか? えっとね憶えて無いんですよ。投稿作はあんまり良くないいわれのあるもんでして。ちょうどそのころ、ホームページを開いていたら。キリ番リクエストとかするじゃないですか。そんなんでちょうど900ヒットを大学の後輩が踏んだんで、「お前何か俺に寄越せ」って言ったら、歌手の※新居昭乃さんのテープを送ってきたんですよ。そんなんでどうしようかって感じもあるんですけど、「じゃあわかったよ。これもらったから、これで一作小説書いて送るよ」って言って。言った後、ぱーって適当に聞きながら書いたのが楽園の冒頭部分なんですよ。 ──ふーん。 長:そのあと、僕がしばらくぼけっとしたときに、三ヶ月くらいかけて、「まあ最後まで小説書こうや」って思い直して。終わらせんとどこにも行けんしなっていう感じで。こんなシーンラッシュだけじゃどうにもならんから。で、一本書いたら後輩にあげるのが惜しくなって、普通に惜しくなって。でその後ぽいっと応募しちゃいました。未だに後輩には、「ありがとね」っていうお礼しか渡してません。 ──でも、おっしゃることは公平っていうか。 長:本当は、何か手土産の、酒の一本とか送らないといけないところなんですけど。なにもしてません。まだ。 |
【『塩の街』の投稿経緯】 ──有川さんの方は? 有:そうですね。 ──『塩の街』のほうですね。 有:電撃HPのインタビューでもちょっと話したんですけど。はじめは一章だけ書き上げてあって、そのあと続かなくって、一年か二年くらいしてから「あ、なんか続きかけそう」って思って、なんか書きたし書きたしって。で書き上げたものを、主人とか友達とかにちょっと読んでもらって、じゃあどこか送ってみようかって。 ──その中で電撃が。 有:まあいろんな人の諸般の事情によるお勧めで。電撃がいいんじゃないみたいな。 長:ポッと出てくるぶっちゃけが素敵だ。 ──諸般の事情が聴きたいんですけど。 有:私もその当時ライトノベルは笹本祐一先生をおっかけるくらいで、全然詳しくなくなっちゃっていたんで、どこに送ったらいいのかわからなくなっちゃってて。まだ現役で読んでる友達に聞いてみて、「電撃は新人でも結構丁寧にフォローしてくれるみたいだよ」って。 長:どこからそんな話が。 ──それはもうはたとか見てたらバレバレじゃ? 有:新人でもなんか、シリーズで完結するまでやらせてもらってるところとか多いって。 長:そんな情報僕の所には何も。 有:なんか普通に読んでたらそういうのがわかるらしいって。 長:ああそうなんだ。 有:新人にやさしいみたいだからそこにしとこうかって。 長:すごいですね。 ──有る意味、やめられないとか。人気が出た時に続けさせられるみたいな。 有:あー、ドラゴンボール状態ですね。 ──それで電撃に。それはじゃあ電撃だけですか? 有:うん電撃だけですね。あと、電撃は選考期間がきっちり決まってるんで待たずに済むと言う話も魅力で。 ──受賞したってどうでした? 有:受賞した時は嬉しかったですけど、やっぱり賭に勝ったって。 ──賭って? 有:そうですね。一次で落ちなかったらけっこう最後まで粘るかな?って。……すごい不遜ですね、すみません。 ──いえいえ。 有:悪運強いんで一次が行けたら粘れるんじゃないかと。実際、けっこう悪運に恵まれた受賞だったらしいです(笑) | |
──長谷さんは? 長:いや、もう僕の方は二次か三次くらいまで半分送ったこと忘れてたんです。はじめのほうの応募通過って(誌面への)出方が小さいじゃないですか? どこについてあるかわからなかったんで、そのあと見るの忘れてたんですよ。最初に見逃したんでまあそのまま、すぐには来なかったんで、待っててもなんやなって思ってたら。えらい経ってから、普通に(連絡が)来てって感じで。 ──じゃあなんか、突然来たっていう? 長:ですね。最初に事前連絡みたいなのがあって電話って順番やと、気構えが持てるんですけど。有川さんの時は電話でした? 最初来た時って。 有:そうですね。私はいつもの発表があってその度ごとにチェックしてたんですけど。わたしの時は最終選考に残った段階で一回お電話頂きまして。 長:え、そんなんあったんですね電撃さんには。僕はそんなんなかったんで。連絡とかあるもんやって話はぽつぽつ入ってくるもんやから、どないよって思ってたら、突然父親が受けて、電話受けて。 「角川書店から」 「えっ?」って。 角川書店とスニーカーが(僕の中で)結びつかなかったみたいで(会場爆笑) 「角川スニーカーって言ってよって。なに角川書店って?」っていう感じで。 ──じゃあいきなりだったんだ。 長:突然角川書店って何事よって、聞いてみたら角川スニーカー編集部だっていう。「ああ!」まさに今まで待ってたかのように応対してありがとうございました。っていう感じでした。 | |
※出たばっかり 『空の中』 有川浩 著 メディアワークス 刊 →amazon →bk1 |
【二作目までの様子】 ──お互いとも二作目が、有川さんのほうは※出たばっかりですが。二作目まではどんなかんじでした? 有:二作目はですね、プロットを一応提出してくれっていわれて。出したらなんか、じゃあこのとおりにやってみてって。 ──それはいくつか出したんですか? 有:いえ、一本だけで。プロットを出したはいいものの、ぜんぜんプロット通りにならなかったんですけど。 ──〆切とかは? 全然決められなかったんですか? 有:〆切は一応決めてもらったんですけど。早い段階でやっぱり無理そうですって言って延ばしてもらって。 ──それじゃあ。一番はじめにそういって。 有:そうですね。わたし〆切がちょっと守れそうになかったら、出来るだけ早めに連絡をいれるようにしてるんですよ。会社っていうのは、仮でもスケジュールが決まっちゃったらその通りに動いちゃいますんで、ストップかけるんだったらすごい早めにかけないとって強迫観念があって。でなんか、二月の〆切を12月の段階で既に「無理です」って。チキンにも程があるって感じなんですけど(笑)それで待って頂いて、四月の頭くらいに書き上がって。書いている間には編集さんのチェックとかはなかったですね。書き上がってからでした。 ──かなり手は入る感じなんですか? 有:いや。うーん、私の場合はですけど、書き上がったところで。たとえば「ここの文章のところで単語が重複してるからどっちか変えて」とかってそういう程度に。あと「ちょっとここのところの説明がたりないから前にいれて」っていう。それくらいの変更ですね。あとはだいたいOKって。 ──じゃまあ、長谷さんの場合は。二作目『フリーダの世界』とか。 長:いや、たいがいここでいろんなことをぶっちゃけちゃってるんですけど、ちょっとここは。あんまり喋らない方がいいかなって。(会場笑) 長:仕事相手さんに関わることはしゃべっちゃダメっていう。 ──言われてるんですか? 長:いや、言われては無いんですけど、僕的フェールセーフが。最終フェールセーフがガチッと来て。 ──じゃあ、二作目はその辺りで? 長:そうですね、大体そんな感じです。もうぶっちゃけ〆切無いようなものだったんで。 ──じゃあ、ゆっくりと? 長:まあゆっくりと。ゆっくりしてちゃいけなかったんですけどね、本当は(笑) |
ラノパ準備会、京フェス実行委員会 |