有里さんの選 ▼プロフィール 有里 ありさとの蔵管理人。 サイトには本の感想やコバルト文庫リスト、ノベル大賞リストなどを載せています。 url : http://alisato.parfait.ne.jp 推薦図書 ・君の嘘、伝説の君／清水マリコ／ｍｆ文庫j ・七姫物語／高野 和／電撃文庫 ・扉の書／安田晶／講談社ｘ文庫ホワイトハート ・銀盤カレイドスコープ／海原零／集英社スーパーダッシュ文庫 ・カルドセプト創伝−ストーム・ブリング・ワールド−／冲方丁／mf文庫j 対象作品内から、年食った人間にも面白く、なおかつ「まいじゃー」なものを選びまし た。というわけで、アニメ化された作品や日本sf大賞を取った作品、乙一の作品は入っ ていません。 以下、各作品についてのコメントですが、これも年食った人向け。 清水マリコ『君の嘘、伝説の君』は、ノスタルジックでせつなくて少しこわいボーイ・ ミーツ・ガールの物語。恩田陸が好きな人向け。ラストの解釈に悩んでしまった前作の 『嘘つきは妹にしておく』と違い、現実レベルでつじつまが合っているの にホラーとしても読める。 高野和『七姫物語』は、ライトノベルというよりは少し児童文学寄りだと思う。 酒見賢一『後宮小説』をジュヴナイル化したような雰囲気。 安田晶『扉の書』は、最近珍しい本格的ファンタジー。構成はイマイチだが、描写に光 る ところがある。タニス・リー風の物語だと思って読んだほうがいい。 海原零『銀盤カレイドスコープ』は、毒舌美少女が主人公のフィギュアスケート物。 『へへへの方程式』な『愛のアランフェス』。主人公の性格はあまり好きになれないけ ど、スケートシーンは圧巻。 2003年の冲方丁のベストはもちろん『マルドゥック・スクランブル』。 でも、日本sf大賞も獲っちゃったし、挿絵がなくて私の基準からいうとライトノベルで はないので脇において、代わりにキャラクターが気に入った『カルドセプト創伝−スト ーム・ブリング・ワールド』を選んだ。ゲーム『カルドセプト』の設定を使った、勝気 な少女と有能なのにどっか抜けてる美少年のボーイ・ミーツ・ガールなファンタジー。 【期間外のお薦めライトノベル】 30歳以上でも楽しめると思われる、ライトノベル系レーベルで出ているシリーズをいく つか。 金 蓮花《銀葉亭茶話》シリーズ（コバルト文庫） 朝鮮の歴史や伝説をもとにしたファンタジーシリーズ。 デビュー作の『舞姫打鈴』、蝶々の精と楓の精の切ない恋を描いた傑作『蝶々姫綺譚』 が特におすすめ。 須賀しのぶ《流血女神伝》シリーズ（コバルト文庫） 帝政ロシアを思わせるルトヴィア帝国を舞台に、皇子アウゼリウスの身代わりとして他 の３人の皇子と帝位をめぐって競い合うことになった少女カリエの運命を描く架空歴史 物。ジェットコースター・エンタティメント。 『帝国の娘』全2巻　『砂の覇王』全9巻　『女神の花嫁』全3巻 駒崎優《足のない獅子》シリーズ（講談社x文庫 ホワイトハート） 十三世紀のイギリスを舞台に騎士見習いコンビが事件を解決していく、軽い歴史ミステ リー。ライトですが、『修道士カドフェル』ファンにおすすめ。作者は史学科出身なの で時代考証もしっかりしていて、安心して読めます。 先ずはシリーズ第一作目の『足のない獅子』からどうぞ。 妹尾ゆふ子『真世の王』全2巻（エニックス ex novels） はっきりいって「ライトノベル」の枠をはみ出している本格異世界ファンタジー。 一般的な「ライトノベル」の予定調和をぶっとばすハードな展開なので、マニアックな ファンタジー読みの方におすすめします。トールキンの『指輪物語』の原作が好きだっ たら読んでね。