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浅木原忍さんの選



▼プロフィール

浅木原 忍
浅木原書店管理人。

url : http://hw001.gate01.com/asagihara/


推薦図書
・dクラッカーズ/あざの耕平/富士見ミステリー文庫
・ダーク・バイオレッツ/三上延/電撃文庫
・遠征王シリーズ/高殿円/ビーンズ文庫
・流血女神伝/須賀しのぶ/コバルト文庫
・吉永さん家のガーゴイル/田口仙年堂/ファミ通文庫




その他ピックアップ作品
・渡瀬草一郎「パラサイトムーン」(電撃文庫)
・三田誠「スプラッシュ!」(富士見ファンタジア文庫)
・吉村夜「ハーモナイザー・エリオン」(富士見ファンタジア文庫)
・佐々原史緒「バトル・オブ・ca」(ファミ通文庫)
・竹岡葉月「東方ウィッチクラフト」(コバルト文庫)



 何かが始まったとき、すでにそれは終わりを運命づけられている。
 というわけで、良作傑作シリーズの完結が相次ぐ中、文句なしの
エンディングを迎えることができた3+1作品をセレクト。

 まずは「dクラッカーズ」。いやもうこの作品に関しては、別名義で
投票した一般部門の方のコメントで書きたいことは全部書いて
しまったので、ここで書くことは何も無いです。ただ一言述べるならば、
この物語に出会えたことが自分にとってとても幸福であったことを。

 次、「ダーク・バイオレッツ」。最終巻は今年3月なので期間外なのですが
期間内に3巻〜6巻が出てるので無問題。正直なところ5巻までは地味な
印象ばかりだったシリーズでしたが、6巻の絶望的な盛り上がりと、それを
引き継いで見事に着地した最終巻の出来は拍手喝采。長すぎず短すぎず、
終わるべきところで終わることができた極めて幸福なシリーズだと思います。

 次は「遠征王」シリーズ。伏線も人間関係も決意も絶望も全て最終巻に
収束して全5巻で実に綺麗に完結した“大人向けの少女ファンタジー”。
欲を言えばあと2冊ぐらい使って、さらっと流していた部分をきっちり書いて
欲しかったなぁ、と思ったりしますが。2冊増えてもこの人なら問題なくまとめて
くれるだろうという信頼のもとに。ホモ臭い表紙に引かずに是非是非。

 次はシリーズが完結したわけではないですが、外伝が終了ということで
「流血女神伝」。これも外伝の最終巻は今年3月なんですけれど。
上中下巻にみっちり濃縮された15年の歳月が奏でる愛と憎しみと別離と
再生と崩壊と殺戮の物語。本当にもうすこぶる面白い。面白いという以外の
言葉が見当たらないぐらい面白い。本編再開が心の底から待ち遠しいです。

 で、最後は新人枠。「12月のベロニカ」が期間から外れてしまったので
「吉永さん家のガーゴイル」と「銀盤カレイドスコープ」の一騎打ちに。正直な
ところ全く甲乙つけがたいのですが、続刊の出来のわずかな差で「ガーゴイル」
に軍配。「銀盤」は私が入れなくても他の人が入れそうなのもありますが。
「ガーゴイル」はご町内ハートフルコメディの傑作なので是非是非是非。



 その他ピックアップ作品も、ここ最近で綺麗に完結したまいじゃー作品を。
 「パラサイトムーン」は期間から外れてなければ絶対に一票でした。
そのぐらい第二部最終巻の6巻は凄い。あれだけの人数の登場人物
全てが活きて戦い抜いていく様が最高に格好いい。超傑作です。
 「スプラッシュ!」と「エリオン」は最近の富士見を代表する短期良作シリーズ。
冒険ファンタジーの醍醐味を思う存分味わわせてくれた「スプラッシュ」、
ここまで守銭奴を格好よく描ききった作品は他にない「エリオン」。
どちらも3冊、4冊で終わってしまうのが勿体ない良作。是非是非。
 「バトル・オブ・ca」もここで終わってしまうのが勿体ない作品のひとつ。
宇宙船のキャビンアテンダントという着想と、プロフェッショナルの誇りを
見事に描いた展開には喝采。惜しまれつつ終わることは幸福なことです。
 「東方ウィッチクラフト」はコバルトの隠れた傑作学園コメディ。ダラダラと
10冊20冊と続きがちなコバルトで、全6巻でピシッと綺麗に終わらせたことは
高く評価すべきだと思うのです。コバルトで面白いものを探している人は是非。