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INNさんの選 ▼プロフィール INN まあいいか。管理人。 url : http://d.hatena.ne.jp/INN/ 推薦図書 ・ジェスターズ・ギャラクシー / 新城カズマ / 電撃文庫 ・銀盤カレイドスコープ / 海原零 / 集英社スーパーダッシュ文庫 ・Dクラッカーズ 7-1 王国 -the limited world- / あざの耕平 / 富士見ミステリー文庫 ・ハーモナイザー・エリオン / 吉村夜 / 富士見ファンタジア文庫 ・半分の月がのぼる空 2 waiting for the half-moon / 橋本紡 / 電撃文庫 「このライトノベルがすごい!」、自分が選んだ5つは以下の通り。どの作品を選ぶかかなり悩みましたが、結局このようになりました。順不同です。 ●ジェスターズ・ギャラクシー / 新城カズマ / 電撃文庫この作品を推す人は他にいないかと思いますが、自分が今現在、富士見ファンタジア文庫で最も続きを楽しみにしている物語です。約10万年も続いた銀河帝国が、最期滅亡するまでの数年間を書いた作品で、主人公らは宇宙を自在に駆け巡る銀河騎兵、《鮮血の天使》。彼らと、先帝が暗殺されたために急遽皇帝に即位した一人の少女が織り成す星間史劇です。 帝国の滅亡、この事実は変えることが出来ず、時が来れば必ず滅びます。歴史の上では、帝国と共に銀河騎兵も同じ道を歩んだとされていますが、この歴史を書き綴ったのは戦争に勝った側の人間。己に都合が良いように書かれた過去と、実際にあった真実は決して同じではありません。 後の世では極悪非道の烙印を押された銀河騎兵ですが、実際には世間にいくら嘲笑われようとも己の信念に殉じた、愚か者たちであっただけ。このキャラクターらは本当に魅力的で、彼らの行末が気になって気になって仕方ありません。帝国は滅亡しますが、その時に彼らは無念の内に果てたのか、それとも違うのか。待っていたのは悲劇なのか、それとも違うのか。願わくは幸福を、そう思わずにはいられないほどに、主人公たちの生き様が格好良くて、素敵です。 SFの設定にはいくらか納得いかない部分があったり、帝国が滅んだ後に書かれた歴史書を振り返るような形で書かれている部分が多いため、説明的な文章がくどく感じられる部分が多かったり、宮廷劇では固有名詞が多くて名前が覚えきれなかったりと、結構な数の不満もあります。...けれど。けれど、それでも取りあえず2巻まで読んでみて下さい。「誇り高き莫迦ども」の切なくも熱い話、気に入るかもしれません。 ●銀盤カレイドスコープ / 海原零 / 集英社スーパーダッシュ文庫今更説明する必要も無いかと思います。フィギュア・スケートをメインテーマに据え、口の悪い天才少女タズサと、何故かタズサに取り憑いてしまったカナダ人幽霊ピートが、二人三脚で頑張るお話です。 この作品を推す理由として、試合前、主人公タズサが抱く不安や緊張感が、読んでいてリアルに伝わってくる事が挙げられます。巨大なプレッシャーに潰されそうになりながら、しかしそれを克服し、さらに自らの高揚感へと変えていく。程度の差こそあれ、こんな経験をした事がある人も多いのではないでしょうか。かく言う自分も何度か味わった事がありますが、読んでいてその時の事を思い出してしまう程に読ませてくれます。読んでて本当に奮えました。感動した作品、笑った作品、悲しかった作品等は割とよく見かけますが、奮える作品と言うのは滅多にお目にかかれないのではないでしょうか。 2巻までの出来が良すぎるため、比較するとどうしても3巻は見劣りしてしまいますが、それを差し引いても読んでみて損は無い作品だと思います。 ●Dクラッカーズ 7-1 王国 -the limited world- / あざの耕平 / 富士見ミステリー文庫ある街で蔓延し、飲むと「悪魔が出てきて願い事を叶えてくれる」と言われた、あるドラッグ。だたカプセルとだけ呼ばれるこのドラッグを巡る、少年少女たちを書いたお話です。シリーズとして推すと言うよりも、あえてこの7-1巻を推します。この巻はそれほどまでに突出して良かったです。 ドラッグの影響で、仲間がみんなバラバラになっていく中、ただ一人だけそれを繋ぎ止めようとして奮闘する少女・海野千絵。どんなにすれ違っても決して諦めないで頑張り、ついにはその努力が実を結ぶ。この巻を読むためだけに1〜6巻は存在したんじゃないだろうか、と思わせるほどに素晴らしい出来で、とにかく千絵の頑張りが心を揺さぶります。6巻ラストにある、ヒロイン梓の名言を読んだときも感動したものですが、この巻はそれ以上。面白かったです。 ●ハーモナイザー・エリオン / 吉村夜 / 富士見ファンタジア文庫金持ちになる事を目標に調和術を学んだ魔法使い、エリオン。調和術とは魔物と契約を結び、報酬を払う代わりに力を使ってもらう術であり、エリオンは莫大な力を持つ炎の魔神ランドラと契約を結んでいる。しかしその力に見劣りしないほどに、支払う報酬も莫大であり、滅多な事では力を借りる事が出来ない...と言う設定で書かれた作品です。 主人公はとにかく金に煩いのですが、金が欲しいがために金を欲するのではなく、格好良くありたいがために金を欲する。そのために、ケチで守銭奴な性格でもちっとも嫌味に感じられません。己の目標のために全力を尽くし、けれども誇りを失う事なく突き進む姿は、とても格好良いです。 「金は力、力は金」 この台詞をここまで格好良く言い切る作品は、他ではお目にかかれないかと。 ●半分の月がのぼる空 2 waiting for the half-moon / 橋本紡 / 電撃文庫ラブコメからも一冊。難病に冒され入院している少女と、その病院に短期間ながらも入院する羽目になった少年が繰り広げるお話です。1巻もそれなりに面白かったのですが、2巻はそれ以上に面白かったです。ちょっとしたきっかけで里香に嫌われてしまった裕一が、なんとかして仲直りしようと奮闘する、と言う内容。この喧嘩が傍で見てると初々しくて、非常に良いです。 また、ただ単にラブコメをやるだけでなく、そこに病気と言うものが絡んでくるため、楽しい中にも物悲しさが漂う雰囲気がなんとも言えません。ラブコメ好きな方々は、気にいるのではないかと。 ただ、もし読まれるのでしたら2巻を読む前に、宮沢賢治著『河鉄道の夜』を読んでおく事をオススメします。自分は読んでいなかったのですが、かなり後悔しました。読んでいなくても楽しめますが、読んでいたらもっと楽しめるはずです。 その他、古い作品を2つほど紹介します。古いから、と言って埋もれさせてしまうのは勿体無い。読んだことのある人も多いかと思いますが、せっかくの機会なので触れさせて頂きます。 ●<卵王子>カイルロッドの苦難 / 冴木忍 / 富士見ファンタジア文庫1巻が出たのは平成4年、最終巻が発売されたのは平成7年とかなり古い作品で、最近ライトノベルを読み始めた人には馴染みが薄いかもしれません。しかしいくら古かろうが、これは名作です。 石化してしまった国民達を助けるために、その国の王子カイルロッドが解決策を求めて旅に出るというお話なのですが、過酷な運命に晒された心優しい王子の姿が、なんとも切なく心に響きます。またミランシャ、イルダーナフといったサブキャラたちも非常に魅力的で、最後まで飽きずに読めるのではないかと思います。面白いですよ。 ●ドラゴンズ・ウィル / 榊一郎 / 富士見ファンタジア文庫第9回ファンタジア長編小説大賞で準入選受賞を受賞した作品で、榊一郎氏のデビュー作。一人の少女と一匹の竜の、心温まる交流を描いたお話です。エチカとスピノザのホンワカとしたふれあいと、その先に待つ悲劇。このギャップに激しく打ちのめされた記憶があります。今でも大好きな話です。 これを読んで以来、自分は榊一郎ファンになりました。今では数多くの作品を手がける氏の、最初の物語。手にとってみるのも面白いかもしれません。 以上、計7作品。他にも色々ありますが、取りあえずこのぐらいにしておこうかと思います。これをきっかけに読んでみて、面白いと思って頂ければ幸いです。 |
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