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一歩さんの選 ▼プロフィール 一歩 一歩の我楽苦多箱/ippo's junk box 管理人。 url : http://ippo.s5.xrea.com 読書量は並よりは上程度、読書暦は絵本と児童文学から早川文庫と創元推理文庫経由でラノベ。妹由来で少女漫画等が並列。趣向は児童文学とsf寄り。よって私定義のラノベとは「ボーイ・ミーツ・ガール」「冒険」「等身大」等がキーワードになる。最近のラノベには、幼少時によく味わった”100点!”というあの感覚がなく、微妙に満足していない。これが歳というものか。 選定は”隠れた名作発掘”を意図し、できるだけメジャーと思えるものは外した。近刊からの5作は近刊読書量が少ない ので難しかった。近刊以外では、あえて海外sf/ft系からやはり5作選んでみた。 推薦図書(近刊より) ・ブレイク-エイジ・シリーズ/馬頭 ちーめい・他/アスペクトコミックス・ファミ通文庫 ・A君(17)の戦争・シリーズ/豪屋 大介/富士見ファンタジア文庫 ・でたまか・シリーズ/鷹見 一幸/角川スニーカー文庫 ・クレギオン・シリーズ/野尻 抱介/早川文庫ja・富士見ファンタジア文庫 ・DaddyFace・シリーズ/伊達 将範/電撃文庫 近刊以外より ・ 星の海のミッキー/ヴォンダ・n・マッキンタイア/早川文庫sf ・ パーンの竜騎士・シリーズ((4)竜の歌 (5)竜の歌い手)/アン・マキャフリィ/早川文庫sf (→bk1) ・ 軌道通信/ジョン・バーンズ/早川文庫sf (→bk1) ・ マジカルランド・シリーズ/ロバート・アスプリン/早川文庫ft (→bk1) ・ 銀河おさわがせ・シリーズ/ロバート・アスプリン/早川文庫sf (→bk1) 近刊のそれぞれについて。 漫画10冊から始まる『ブレイク-エイジ・シリーズ』は、ロボ・ゲーム・部活・高校・かわいこちゃんという正道(?)の”ボーイ・ミーツ・ガール”。あの頃の「青春」、何か打ち込むものを求め、見つけ、育て、達成し、友達や恋人を得る、そんなむずがゆくもこっぱずかしさがたまらない。特に理系部活の過去を持つ人にお薦め。あとロボゲー好きとか、mm(マッチメーカー)と聞いて判る人とか。 正道があるなら邪道もある訳で、いじめられっこが怨念をプラスに回すのが『a君(17)の戦争・シリーズ』。曰くのありげな異世界で「魔王」に任命された主人公が智謀の限りを尽くして国を救わんとする。共感点の多くが”負”の部分にくる、ある意味イタいが故に好きな話。絶対に見えて実は相対的な正義を描いてるあたりも好み。あと美人が一杯(いやこれはどのお薦めもそうなんだけど)。 『でたまか・シリーズ』は、「青春」については微妙だが(らぶらぶ含有率は高いがそれが主テーマか微妙)、「チーム」というテーマでは文句なしに上述2つと同じである。虐げられた弱者(辺境国家)の、生きる為の戦い。生活の知恵的大逆転。信義。『銀河英雄伝説』等と一脈通じているように思う。あるいは上述『a君(17)の戦争・シリーズ』とも裏表ないし表表を成すと思う。 『クレギオン・シリーズ』は最近早川文庫jaで復刊されたので近刊とするが、元は1992年の富士見ファンタジア文庫。正当宇宙もの、1アイディアもの。宇宙進出後の人類だが、数世代前の大戦で失った技術も多いという設定で、ロスト・テクノロジーが結構出てくるのが話を広げ、かつ、主要各キャラが立ってるのがいい。主人公らは一緒だが、毎回舞台も変えて一話(冊)完結形式でやってくれてるところも好感。 同じロスト・テクノロジーでも超古代文明のoパーツ、となる『daddyface・シリーズ』はスピード感溢れる馬鹿活劇。主人公(大学生)に10も歳が離れていない娘が! というだけではじけてるが、その娘が実は……だったり、更に主人公の方も……だったりで、ハイテクと超人とインディ・ジョーンズが入り乱れる全方位エンターテイメント。そう、漫画の『スプリガン』と近しいかもしれない。 近刊以外のそれぞれについて(早川文庫ばかりになってしまった)。 宇宙・女の子・猫・挿絵という衝撃の早川文庫sfは『星の海のミッキー』(およそ当時の早川sf”らしくない”本と思う)。 何故絶版入手困難もっと売れていいのに古本屋で見つける度に買って人に押し付けてます布教洗脳。とにかく萌え萌え。施設育ちの娘が学究コロニーに移民して新しい家族と共に暮らす事になるのだが、彼女のポケットでは大いなるちっちゃな秘密がふかふかでふにゃふにゃでゴロゴロと喉を鳴らしていたりして……。密輸です。規則違反です。餌の獲得が大変です。そしてはじめて見る宇宙とコロニーの鮮やかさ。逸品。さあ女の子と猫と宇宙に萌えろ! 同じく女の子で続けると『パーンの竜騎士・シリーズ』。 今回指すのはシリーズの第4〜5巻(ジュヴナイルとして書かれた”竪琴師三部作”の部分)。主人公は音楽の才能に恵まれた娘なのだが、”世間”が彼女を竪琴師(この世界では音楽と共に教師・学者・政治家の意味を含む職業)になるのを許さない……という出だしで始まるこの話は、音楽への才能と愛とか、認められない絶望とか、そして多くの人が支援してくれる喜びとかに溢れてる。加えて、火蜥蜴(竜)という愛すべき隣人の存在。音楽とペット(犬猫類)が好きな人にお薦め。 更に女の子で続けて『軌道通信』。小惑星を改造した採掘コロニー(数十世帯規模)で暮らす少女の日記、といった体裁で、舞台が宇宙で背景アイディアがsfなものの、その構造は『赤毛のアン』等から続く正統少女モノだろう。そんな正統目線で楽しみながらも周囲は岩と真空という、絶妙のブレンドがsf好きにはいけている。 余談になるが「辺境の電脳たちweb版」における水玉螢之丞さんの手によるイラスト等も見とくと、グッと萌え度が上がるでしょう(となると後述の『マジカルランド・シリーズ』とも水玉繋がりですな)。 http://www.ltokyo.com/ohmori/henkyo/vol06.html さて、主人公の性別を移して、『マジカルランド・シリーズ』はユーモアファンタジー。魔法使いを目指す少年の師匠になったのは、魔法が使えない緑鱗の怪物男。半端な師匠と半端な弟子の凸凹珍道中は、いつしか他の凸凹キャラ達を呼び寄せて魔法愚連隊というか微妙サークルというかを形成し……と雪だるま式に友情と冒険を描いていく。特に盛り上がり出した第2巻から転変をまたぐ第6巻までがお薦め。 同作者による、青年で愚連隊でsfな『銀河おさわがせ・シリーズ』も、『マジカルランド・シリーズ』と同じベクトルで大好き。半端でいびつな才能を持つ「落ちこぼれ」達が集まってやる気を出した時、そこには「無敵部隊」が現れる。このテーマが、その成長が、とてもとても気持ちがいい。『でたまか』とも同テーマ同じ味わいと言えば判って貰えるだろうか。第1〜2巻がお薦め。 以上、他にもメジャー寄りなものマイナー寄りなもの、お薦めは幾らでもあるのだが、まあ、このへんで。 それでは、豊かなる読書ライフを。 |
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