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眞世さんの選



▼プロフィール

眞世
幻燈博物館管理人。

url : http://www4.ocn.ne.jp/~sucope/


推薦図書
・茅田砂胡 「暁の天使たち5 女王と海賊」
・橘香いくの 「有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険 盗まれた蜜月(後編)」
・高殿円 「運命よ、その血杯を仰げ 遠征王と隻腕の銀騎士」
・荻原規子 「西の善き魔女 外伝3 真昼の星迷走」




・対象作品内から、お薦めのライトノベルを挙げてください。五作品くらいを目安。


茅田砂胡 「暁の天使たち5 女王と海賊」
「デルフィニア戦記」と「スカーレット・ウィザード」のキャラクター達が活躍する「暁の天使たち」シリーズはキャラクター優先ではありますが、面白いです。「デル戦」のキャラクターたちが主人公のようなのですが、物語としては「スカ・ウィ」のケリーとジャスミンが復活するまでの物語ですので、「スカ・ウィ」の続編と言った方がしっくりするかもしれません。舞台としてはsfなのですが、内容はftです。


橘香いくの 「有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険 盗まれた蜜月(後編)」
 大富豪である祖父の遺産相続人となったことで突然お嬢様になったコラリーと、国王の覚えめでたい変人美青年フェリックスの物語の最終巻。ついに舞台はブローデル王国を出てアルカイスに向かったのですが、この物語はこの作家の他のシリーズの未来の物語でもあるので、しっかりと歴史と地理が構成されているのも面白いところです。


高殿円 「運命よ、その血杯を仰げ 遠征王と隻腕の銀騎士」
 「遠征王」シリーズの最終巻。最初は温泉好きで女好きの女王の軽い物語と見
せかけておいて、政治や人間関係が複雑に絡んでくる物語です。「尾のない蠍 遠征王と流浪の公子」と「運命よ、その血杯を仰げ 遠征王と隻腕の銀騎士」では一気に物語が大きく展開したのですが、ここに登場する女性陣は皆とにかく強いです。男性陣は結局は脇役だったんだ、と最後にはしみじみ実感させられるくらい、色んなしがらみに翻弄されつつも女性陣は強いです。


荻原規子 「西の善き魔女 外伝3 真昼の星迷走」
 「西の善き魔女」シリーズの外伝というよりは完結編といった内容になっています。フィリエルたちのその後の物語なのですが、まだまだ物語が終わった訳ではなくて、まだまだフィリエルとルーンの未来には沢山の障害と苦労が行く手を阻んでいるのがありありです。この物語の世界の仕組みが明かされるという意味では物語が一段落したようでもあり、制限が解かれた世界を見てしまったことでますますこの先の物語も読みたくなります。

 シリーズが終了してしまった作品ばかりを挙げてしまったのですが、2003年は気に入っていたシリーズが完結した年でもありました。2004年に入って、「暁の天使たち」と「有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険」は外伝が出たのですが、「遠征王」シリーズも外伝で他の人物たちのその後の人生を書いてくれることを密かに希望しています。



・出版時期を問わず、お薦めのライトノベルがあれば挙げてください。

片山奈保子 「さよなら月の船」
 最近は少女小説の王道である集英社コバルト文庫でも珍しい、中学生の女の子の日常と成長を描いた物語。作者は主にftを書いている方ですが、こういう作品ももっと沢山書いて欲しいものです。主人公の女の子が家族や学校の問題を抱えて悩んだりしつつも、自分の足で立ってゆっくりと大人になっていこうとするまでの過程が良いです。


乙一  「暗いところで待ち合わせ」
 今のところ、これまでに読んだ乙一さんの作品で一番気に入っています。乙一さんの作品は、どれも最後まで展開が読み切れない部分があるのですが、この作品も最後の展開は予想外でした。視力を失ってほとんど家に籠もってくらしている少女と、その家に忍び込んだ青年の奇妙な共同生活の緊迫感が好きです。



・何かしらかのコメントをお願いします。

 わたしはライトノベルというよりは少女小説を沢山読むのですが、近頃は少女小説がライトノベルとほとんど垣根がない内容になってきているように感じます。そんな中で、王道の少女小説と呼べるような内容(魔法やら異世界が出てこない現実世界の中で普通の立場にある主人公が日常で活躍する物語)の良作を読むと、懐かしいような嬉しいような気持ちになります。
 今後、復刻版だけでなく、新作でもっとそういう作品が出てくることを期待したいと思います。