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うたたねこさんの選 ▼プロフィール うたたねこ うたたねこや 〜谷山浩子と本のあるところ〜 管理人。 url : http://homepage3.nifty.com/utata/ 推薦図書 1.「太陽の塔」森見登美彦[新潮社] 2.「蛇行する川のほとり」恩田陸[中央公論新社] 新刊はあまり読んでいないので、限定枠の趣旨も考慮に入れて2作品だけ。 1は自分のことを振った女性に対する未練から「研究」と称して彼女の生活 をまったりと観察し続ける大学5回生の、熱く冷めてる日常ファンタジーです。 ダメ人間が持ってまわった語りで無駄に世界を敵にして闘っている、という話。 2は3冊からなる、高校生が主役のミステリアスな物語。不完全な美しさと 完全な美しさを持った女たちによる、夏の日のわずかなあいだに彼女たちが迎 えた移り変わりの物語を恩田陸の見事な語りとともに堪能するのが良いですよ。 ・お勧めライトノベル 1.「山の上の交響楽」中井紀夫[ハヤカワ文庫](1989年) 2.「きみが見ているサーカスの夢」谷山浩子[コバルト文庫](1992年) 3.「美琴姫様騒動始末」結城恭介[新潮文庫](1989年) 範囲の限定なしにお勧めを挙げてたらキリがなくなってしまう気もしますので、ライトノベルという言葉やネットなんかが普及する前のもので、ネット上であらためて話題にされたりすることもあまりないような作家の作品をこの機会で紹介してみようと思います。どれも手に入りにくいかとは思いますが……。 1は普通の高校生だった主人公が変わった老人たちと知り合って電線に登るようになる「電線世界」や、南と北に高い壁が延々と続く世界で少年が世界の果てを目指した旅に出る「見果てぬ風」、変わった挨拶が行われている地方の町の謎「昼寝をしているよ」などの不思議な話を集めた短編集です。 2は誰にも見えないピエロが誰にも聴こえない歌を歌っている世界。行方不明になってしまった先輩。相談を持ちかけた叔父の家で不思議なものを見せられ主人公。だんだんと増える行方不明の生徒。「ライト学園ファンタジーミステリー」ともいえる、読みやすくて作者らしさも発揮されている作品です。 3は1983年に小説新潮新人賞の表題作を含む作品集。20年も昔の昭和末期のものになるわけですが、この作品は昭和の末期といっても誰もが和服姿で「江戸」の街を歩いているという、古い日本文化が生きる「もしも」の日本を舞台にしたスラップスティック青春小説。独特の軽快な文章が愉快です。 |
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