2003年度 一般参加枠集計結果
まずは大変多くの方に投票していただいた事を感謝します。投票形態の問題もあって、一時は票が伸びずにどうなる事やらと思ったんですがどうにか格好が付きました。この投票ランキングはいわばお祭りのようなもので上位に上がっている以外にもよい作品はたくさんありますが、ライトノベルへのとっかかりなどに有効活用してもらえると嬉しいです。
また今回のランキングでは「シリーズではなく、単発の作品に対して投票する」というルールだった事に注意してください。投票結果に少なからず影響しています。
全投票者数は396名、うち男性300名・女性69名・性別不明27名となっております。もしも次回があればさらに多くの方に(特に女性)参加していただけるものにしたいですね。
集計部門は
●小説投票数別ランキング (総合 / 男性部門 / 女性部門 )
●著者投票数別ランキング (総合 / 男性部門 / 女性部門 )
●イラスト賞作品別ランキング(総合 / 男性部門 / 女性部門 )
(諸事情により、イラスト賞の集計CGIがまだ用意できていませんので、当面一歩さんのこのライトノベルがすごい!かもしれないを参照してください)
の三つがメインです
なお、おまけ的な集計として
●小説文字数別ランキング (総合 / 男性部門 / 女性部門 )
●著者文字数ランキング (総合 / 男性部門 / 女性部門 )
も集計してあります。これはコメント文字数を集計したもので、熱狂的なファンがついているかどうかの指標になる、かもしれません。ご参考までにどうぞ。
なお、一歩さんの作成したこのライトノベルがすごい!かもしれないで各種結果を本家よりも詳細に(^^;参照する事が可能です。より細かく結果についてご覧になりたいときはこのサイトをご利用くださいませ。
なお以下の作品に関するコメントはあまりあてにせずにぎやかし程度に思ってくださいませ。
全体的な傾向としては限定枠に比べると「人気」が前面に出てきています。個人的に注目したいのは女性部門でしょうか。
小説投票数別ランキング総合
1位 イリヤの空、UFOの夏 その4 (電撃文庫/秋山瑞人) 51票
2位 七姫物語 第2章 世界のかたち (電撃文庫/高野和) 23票
3位 撲殺天使ドクロちゃん(電撃文庫/おかゆまさき) 22票
3位 AHEADシリーズ 終わりのクロニクル 1<上>(電撃文庫/川上稔) 22票
5位 マルドゥック・スクランブル The Third Exhaust-排気(ハヤカワJA文庫/冲方丁) 21票
6位 きみとぼくの壊れた世界(講談社ノベルス/西尾維新) 20票
7位 バッカーノ! 1931 The grand punk railroad 特急編(電撃文庫/成田良吾) 19票
7位 ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹(講談社ノベルス/西尾維新) 19票
9位 銀盤カレイドスコープ vol.2 フリー・プログラム:Winner takes all?(スーパーダッシュ文庫/海原零) 16票
10位 AHEADシリーズ 終わりのクロニクル 2<下>(電撃文庫/川上稔) 14票
10位 Dクラッカーズ7−2 王国−a boy &a girl− 14票
10位 涼宮ハルヒの憂鬱 14票
注)投票データの修正により、撲殺天使ドクロちゃんは3位に後退です
イリヤの空、UFOの夏が2位にダブルスコア以上の差をつけてぶっちぎりの1位!!
撲殺天使ドクロちゃんの3位も、最初はびっくりしましたがこの1,3位は売り上げを考えると妥当な所と言えそうです。コアなライトノベル読者だけでなく、比較的広い層にも受け入れられたことが勝利のカギか? 特にドクロちゃんは圧倒的な個性を持った作品で読んだ人間に強烈な印象を残したようです。
注目作は2位につけた七姫物語。本来殺伐たる戦争を、空澄姫という当事者でありながら戦争から遠い立場にいる人間の目を通して描く事で独特な透明感のある雰囲気を持った作品です。他の作品にはありそうで実はない作風が支持されたのでしょうか。
AHEADシリーズと西尾維新作品はともにベスト10内に2作入っている事から熱狂的なファンがついている事がうかがえます。内容的にはどちらも相当に人を選ぶタイプの作品なのですが、それだけに一度はまると支持も圧倒的のようです。
マルドゥック・スクランブルは日本SF大賞を受賞した実力作なので、当然といえば当然か。カジノシーンは圧巻。
バッカーノ!は視点切り替えを多用し、錯綜した状況が徐々に一点に収束していく様子が実に巧みに書かれた作品。特に特急編ではこの特徴が強く出ているため、シリーズの中でも得票数が高かったのかも。
もうひとつの注目作は銀盤カレイドスコープ。スポ根小説と言うだけで希少価値ですが、これはフィギュアスケートを題材にしたもの。スケートシーンの描写は一読の価値ありです。
いろいろ話題性が多かった涼宮ハルヒの憂鬱もベスト10にランクインしていますね。
それにしても……電撃文庫強し!!
13位 悪魔のミカタ 11 It/ザ・ワン 13票
13位 Dクラッカーズ7−1 王国−the limited world− 13票
13位 バッカーノ!1931 鈍行編 The grand punk railroad 13票
13位 第六大陸 1 13票
17位 導きの星 IV 出会いの銀河 12票
17位 ウィザーズ・ブレイン IV 世界樹の街<上> 12票
17位 バウワウ! Two dog night 12票
17位 A君(17)の戦争6 すべてはふるさとのために 12票
17位 銀盤カレイドスコープ vol.1 ショート・プログラム:Road to dream 12票
17位 学校を出よう! 2 I-My-Me 12票
17位 零崎双識の人間試験 12票
悪魔のミカタはこの位置に甘んじていますが、これは多作による票の分散の影響を受けている可能性あり。もしシリーズ単位での投票だった場合ベスト10に食い込むだけの勢いがありました。Dクラッカーズはこれが完結編ですが、上下ともにランクインしている事が読者の満足感を伺わせます。第六大陸と導きの星はは、最近注目される事の多い小川一水さんの作品。どちらも「一流の仕事」を意識した内容になっています。ウィザーズブレインは刊行ペースがゆっくりなのですが、その独自性の強い設定と痛みの多い展開に根強いファンがついているようです。
Aく(17)くんの戦争は、戦記ものというにはあまりにも異質な形の作品。普通のファンタジーに慣れきった方に新鮮だったかもしれません。
20位にランクインしている学校を出よう!2巻にも注目。シリーズ中もっともSF色が強く、そこが支持されたのかもしれません。これもハルヒと同じ作者さんの作品です。
小説投票数別ランキング男性
とくにこれといった特徴もないため省略します。
小説投票別ランキング女性
1位 流血女神伝 女神の花嫁 中編(コバルト文庫/須賀しのぶ) 6票
1位 イリヤの空、UFOの夏 その4(電撃文庫/秋山瑞人) 6票
1位 楽園の魔女たち 楽園の食卓 前編(コバルト文庫/樹川さとみ) 6票
4位 Dクラッカーズ7−2 王国−a boy & a girl−(富士見ミステリー文庫/あざの耕平) 5票
4位 彩雲国物語 はじまりの風は紅く(ビーンズ文庫/雪乃紗衣) 5票
4位 七姫物語 第2章 世界のかたち (電撃文庫/高野和) 5票
4位 遠征王と隻腕の銀騎士 運命よ、その血杯を仰げ(ビーンズ文庫/高殿円) 5票
8位 バッカーノ! 1931 The grand punk railroad 特急編(電撃文庫/成田良吾) 4票
8位 バッカーノ!1931 鈍行編 The grand punk railroad (電撃文庫/成田良吾) 4票
8位 暁の天使たち 5 女王と海賊(C☆NOVELS/茅田砂胡) 4票
票の絶対数が少ないという問題がありますが、それでも女性票ならではの特徴が出ています。むしろ電撃が思ったよりも読まれているな、と感じました。投稿している層の問題もありますが、電撃の勢いの強さを象徴しています。
トップは流血女神伝。運命に翻弄されつつもそれに負けずにしっかりと前を向いて進む少女・カリエが主人公のお話です。重厚なファンタジー巨編にして、ジェットコースター人生もの(謎 。彩雲国物語は……すいません積読してました(汗 身分は高いが金のない貧乏貴族のお嬢様がどうしようもないと評判の王様を、よき王にするために期間限定の妃になる話とのこと。……おもしろそうじゃないですか!! あとで発掘しておこう。
楽園の魔女たちはは、少女小説では知らない人はいないであろうという人気コメディ。暁の天使たちも少女小説ではご存じ茅田砂胡さんお得意のインフレ強者の物語です。
著者投票別ランキング
1位 西尾維新 54票
2位 秋山瑞人 51票
3位 川上稔 48票
4位 成田良悟 46票
5位 冲方丁 45票
6位 小川一水 44票
7位 あざの耕平 37票
8位 谷川流 34票
9位 うえお久光 31票
10位 海原零 30票
11位 秋田禎信 28票
12位 おかゆまさき 23票
12位 高野和 23票
14位 今野緒雪 20票
15位 浅井ラボ 19票
16位 渡瀬草一郎 18票
17位 鷹見一幸 17票
18位 三枝零一 16票
19位 豪屋大介 15票
19位 高瀬彼方 15票
基本的には作品別投票と変わりなし。最近1年間で「おもしろい!」と思われる多シリーズを展開している作者にやや有利な集計のはずですが、それでもあっさり入ってしまう辺りが秋山さんのすごさかもしれません。
著者投票別ランキング男性
やはりこれといって総合と代わり映えのないランキングにつき説明省略します。
著者投票別ランキング女性
1位 秋田禎信 9票
1位 成田良悟 9票
3位 須賀しのぶ 8票
4位 あざの耕平 7票
4位 樹川さとみ 7票
6位 茅田砂胡 6票
6位 今野緒雪 6票
6位 秋山瑞人 6票
6位 高殿円 6票
10位 西尾維新 5票
10位 高野和 5票
10位 渡瀬草一郎 5票
10位 雪乃紗衣 5票
10位 冲方丁 5票
ちょっと面白い結果になっています。各所で上位の作家陣を抑えて秋田さんが一位に入ってきました。オーフェンなどは女性受けしやすい、んでしょうか?この辺きちんと分析してみるとおもしろかもしれませんね。
イラスト賞ランキング
1位 七姫物語 第2章 世界のかたち 27票
2位 イリヤの空、UFOの夏 その4 23票
3位 AHEADシリーズ 終わりのクロニクル 2<下> 19票
4位 撲殺天使ドクロちゃん 12票
5位 ぺとぺとさん 11票
5位 キーリ 4 長い夜は深淵のほとりで 11票
7位 ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹 10票
7位 キノの旅 The beautiful world VII 10票
7位 君の嘘、伝説の君 10票
7位 AHEADシリーズ 終わりのクロニクル 1<上> 10票
11位 AHEADシリーズ 終わりのクロニクル 1<下> 9票
11位 GOSICK−ゴシック− 9票
11位 涼宮ハルヒの退屈 9票
14位 リバーズ・エンド 5 Change the world 8票
14位 バウワウ! Two dog night 8票
14位 銀盤カレイドスコープ vol.1 ショート・プログラム:Road to dream 8票
14位 我が家のお稲荷さま。 8票
18位 ディバイデッド・フロント I 隔離戦区の空の下 7票
18位 Missing 10 座敷童の物語 7票
18位 フルメタル・パニック!(13) 安心できない七つ道具? 7票
事前予想として小説投票数別ランキングとあまり違いはないのではないか、とも思われたのですが結果を見ると違いが浮き彫りになっていますね。ここではいくつか要点を絞ってとりあげてみます。
おそらくAHEADシリーズの2の下巻の方がイラスト賞では上に来ているのは(小説の投票では1の上巻が上)、作中で言うまロいイラストに焦点が当たったからかと思われます。川上氏の作品ではいつも「ギリギリの綱当たり」が信条のようでそこが受けているのかも。
特筆すべきはぺとぺとさん。小説の方では4票だったのに、なんとイラストでは3倍近い得票がありました。票数の差異だけで行くと、キノの旅はさらに顕著ですがこれはシリーズの息が長く円熟期に入っていることも影響しているかもしれません。同じくキーリもそこまで極端ではありませんが、やはりイラスト賞で上位に食い込んできています。
君の嘘、伝説の君にも注目したいところ。これについては小説の内容・イラストの独自性が見事にかみ合った結果が票に表れていると考えられます。個人的にはディバイデッド・フロントが実際の小説の描写とイラストのシンクロぐあいがすばらしかったのも印象的でした。
なお、絵師別の集計をご覧になりたい方は……このライトノベルがすごい!かもしれないの絵師別集計結果をご利用ください。……こればっかりですね(^^;
(文責:極楽トンボ)
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