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作品評
プリンセス・プラスティック フリー・フライヤー

著者 : 米田淳一
絵師 : 緒方剛志
ISBN : 4-15-030713-Z
page : 376p


Dr.MAD /
   圧倒的な火力とそれを実現する時空潮汐機関をワームホール内に格納することで、戦艦でありながらサイズは成人女性サイズ並というバイオロボット、シファリアスとミスフィオス。人造の女神として生まれ、その強大な力ゆえにポリティックゲームの狭間で揺られながら、心をよりどころにして苦難に立ち向かってゆく。
 森田浩之氏の『星界の紋章』に出会った頃を思い出す、キャラクター性に富んだジュブナイル小説。自分たちでは手に負えないものを作ろうとする発想は、例えば原子力爆弾を例に挙げるとわかりやすい。鉱石を組成することこそ出来ないものの、ほとんど人の技術と理論によって製作されながら、人が望むような完全な制御には今も至っていない。原子力爆弾は神ととらえるのにはやや難があるが、それに心があるとすればあるいは神といえるのではなだろうか。『プリンセス・プラスティック』シリーズに登場する二人のバイオロボット、シファとミスフィも無敵最強を欲しいままにする存在である。物理的にもバーチャルの世界に置いても、制約を課すのは人ばかり。そうした世界の中で、二人にとっての最悪の事態とは人に絶望して自殺すること。一段高みから人類を見下ろす女神の目線に、ついどう審判されるのかが気にかかる一品である。
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