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作品評
ライトジーンの遺産

著者 : 神林長平
絵師 : 高河ゆん
ISBN : 4-25-777005-8
page : 636p


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  臓器が崩壊する未来、人工臓器メーカーが林立する世界。
主人公は超能力っぽいものを使う人造人間。
探偵を仕事とする彼は臓器にまつわる不可思議な事件に巻き込まれる。

粗筋を言えば、こんな感じでしょうか。
超能力を操る人造人間、というネタは古臭い。
と言う気もしますが、それを上手く扱っているのがこの作者のいいところ。
とりあえず、読んでみてください。
嵌れます。中年の出てくるハードボイルドが好きな方にはさらにもう一押し。絶対に嵌れるでしょう。
ライトノベルと言えるかどうか、甚だ疑問ですが……。
でも、個人的にはライトノベルの部類。
( 丼さんの紹介ページへ )


Se27 /
  迷った。まずこれはソノラマ文庫NEXTからの再録だし、何より「ライトノベル」として推薦するならもっと他の作品があるのではないかと。乙一か、はたまた電撃文庫の某か、それともスニーカーの……。すごいライトノベルはたくさんある。
しかし、それでもあえて「ライトジーンの遺産」というよりSF作家・神林長平を推すことを選んだわけは、近年のライトノベルに与えた影響力の大きさ故――というのは戯言だろうか?

例えば「ライトジーンの遺産」の世界観は、人間の臓器が勝手に崩壊してしまうというシュールで突飛なモノだ。しかし作者はこの世界を現実離れした異世界として描くのではなく、あくまで主人公の生きる日常として描いた。「戦闘妖精・雪風」にはじまり、氏の作品の登場人物の「世界」に対する向き合い方というもの、よく似ている(もっとも、この意見には賛否両論あるだろう)。だからあえて言おう(……うーん、どうやら「天国にそっくりな星」の帯と被ったみたいだ^^;

ぼくらの「セカイ」は神林の遺産で動いているのだ!

……あ、神林先生が死んじゃったって意味じゃないですからね、悪シカラズ。
( Se27さんの紹介ページへ )


御霊よしつぐ /
  冒頭から言い訳というのも何なのですが、この作品は再刊であるものの、神林長平氏の新刊は初版発行日2003年2月と2004年3月と、対象期間となる12ヶ月の間に刊行されておらず、かといってこれだけ『大量に』刊行されているにも関わらず、神林長平氏の作品に入れないというのも心苦しかったので、代表としてこの作品に投票します。
我々が無条件で自分自身の一部として見なしている機構が、本質的には自分自身の一部ではないのではないか、という問いかけは処女作である「狐と踊れ」にも見られ、その意味で神林長平氏の作品世界を象徴する作品という意味も込めています。
( 御霊よしつぐさんの紹介ページへ )