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Se27

推薦図書
・ 悪魔のミカタ 12 It/ストラグル
・ フルメタル・パニック!(12) 踊るベリー・メリー・クリスマス
・ マルドゥック・スクランブル The Third Exhaust-排気
・ きみとぼくの壊れた世界
・ ライトジーンの遺産


イラスト評




悪魔のミカタ 12 It/ストラグル
  近年のライトノベルレーベルの旗手、電撃文庫から、ポスト・ブギーポップ以降の代表作として、この「悪魔のミカタ」シリーズと「バッカーノ!」シリーズ、それに「イリヤの空、UFOの夏」シリーズをあげたい。
それはこの三作が、もっとも「電撃らしい」(と思える)作品だからである。特に「悪魔のミカタ」シリーズに限っていうなら、これが電撃文庫以外で出版されるということがありえただろうか、とさえ思う。
デビュー作「悪魔のミカタ1 魔法カメラ」はミステリとしては中途半端で、おまけに少なくとも第一巻の時点では読みやすいとは言いかねる文章だった。それでも読者に受け入れられてしまうだけの「勢い」を本シリーズは持っていた。「勢い」とは何か?――話がそれるのでそれを書くことはしないが、それはあるいは、めちゃくちゃでありながら魅力的なキャラ達への「萌え」であるし、彼らの動くセカイそのものに対する憧憬である。そういう意味で「悪魔のミカタ」が西尾維新の「戯言」シリーズと対比されることが多いというのも頷けることだろう。

……しかしシリーズ十二作目となる本作、「悪魔のミカタ 12 It/ストラグル」には特異なことが一つある。主人公が、ただの一ページも登場しないのだ!
それでも主人公の存在を思い起こさずにはいられないというのが、奇妙なことであり、そしてなんとも「悪魔のミカタ」らしい。
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フルメタル・パニック!(12) 踊るベリー・メリー・クリスマス
  作者はエンターテイメントのツボをしっかり押さえている。シリーズが進んでも、だれずにいるどころか、どんどん面白くなっているのが(あたりまえのことなのかもしれないが)すばらしい。ライトノベルかくあるべし、という一作あげろと言われたら自分は文句なしでこのシリーズを選ぶだろう。誰にでも薦められる。

ちなみに本作は某キャラファンにとっては少しだけ哀しいクリスマス。シリーズの方向性が変化し、物語はここからクライマックスへと盛り上がっていくようだ。
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マルドゥック・スクランブル The Third Exhaust-排気
  いまさら紹介する必要はないのだけれど……。

なんといっても圧巻は、この三巻のカジノシーン。気が付けば読者はバロットとともにトランプを握っていること請け合い!

マルドゥック・スクランブルは作者の奇妙な言語感覚とスピード感溢れる戦闘描写が魅力のサイバーパンク小説。少しだけ苦いSFの血と、随所に感じられる鮮烈なライトノベルの血の見事な融合は、冲方丁による新時代の幕開けを予感させる。
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きみとぼくの壊れた世界
  近年のライトノベルというジャンルを考えた場合、「萌え」文化と対をなす潮流として「セカイ系」(という言葉自体に賛否両論は在ろうが)作品群があげられるのは避けられないだろう。本作は、「戯言」シリーズで一大センセーションを巻き起こした西尾維新が、「セカイ系」であることに自覚的に取り組んだ意欲作であり、同時に「セカイ系」(自意識=世界)という狭い枠の中で、近親相姦的に劣化コピーを繰り返していた作品群に一石を投じた問題作でもある。「セカイ系」=「きみとぼくのセカイ」の正統であると同時に、「きみとぼく」の生んだ奇形児であるというのは西尾維新小説の特徴でもあるが、本作はそういう意味でも「実に西尾維新らしい」と言えるのではないだろうか。西尾維新の初読者に薦めたい。
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ライトジーンの遺産
  迷った。まずこれはソノラマ文庫NEXTからの再録だし、何より「ライトノベル」として推薦するならもっと他の作品があるのではないかと。乙一か、はたまた電撃文庫の某か、それともスニーカーの……。すごいライトノベルはたくさんある。
しかし、それでもあえて「ライトジーンの遺産」というよりSF作家・神林長平を推すことを選んだわけは、近年のライトノベルに与えた影響力の大きさ故――というのは戯言だろうか?

例えば「ライトジーンの遺産」の世界観は、人間の臓器が勝手に崩壊してしまうというシュールで突飛なモノだ。しかし作者はこの世界を現実離れした異世界として描くのではなく、あくまで主人公の生きる日常として描いた。「戦闘妖精・雪風」にはじまり、氏の作品の登場人物の「世界」に対する向き合い方というもの、よく似ている(もっとも、この意見には賛否両論あるだろう)。だからあえて言おう(……うーん、どうやら「天国にそっくりな星」の帯と被ったみたいだ^^;

ぼくらの「セカイ」は神林の遺産で動いているのだ!

……あ、神林先生が死んじゃったって意味じゃないですからね、悪シカラズ。
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