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作品評  /  イラストへの評を見る。
フルメタル・パニック!(12) 踊るベリー・メリー・クリスマス

著者 : 賀東招二
絵師 : 四季童子
ISBN : 4-8291-1505-X
page : 362p


高空 昴 /
   「フルメタル・パニック!」シリーズは、全体を通して非常に高水準なライトノベルである。笑いあり、熱血あり、萌えあり、感動あり。そして読みやすくテンポのいい文章が冴えている。
 ライトノベルというジャンルに求められる要素を、ここまでバランス良く装備した作品は珍しいと思う。そして、長編と短編集、両方において面白さを維持し続けている点も素晴らしい。
 特に評価したい点は、フルメタル・パニックの長編は、巻ごとにきちんと「物語としての山場」がある点だ。人気シリーズだからと、ただ続けるためのダラダラとした展開をしていない。それゆえに面白く、続刊に期待を抱く事ができ、そして読み応えを得られるのだ。
 単純な勢いやお約束的マンネリズムに頼らない、確かな面白さがある作品である。
 この12巻もまた、そうしたシリーズを担う一冊だ。
 ぜひ、シリーズを通して読んでみて欲しい。
( 高空 昴さんの紹介ページへ )


正樹 勇魚 /
   フルメタ長編最新作ですね(2004春現在)。
 フルメタルパニックシリーズ、勇魚の大好きなシリーズの一つなのですが、何が好きって、その設定のでたらめさと、リアルさですね。アームスレイブ、ラムダドライバ、ウィスパードなどなど、現実の延長線上にはまずあり得ないものを使いながら、リアルな政治構造や社会背景を構築しているあたり、すごいなぁと溜息が出てしまうのです。

 この『踊る〜』では、美少女天才艦長・テレサ=テスタロッサの恋心に一応の決着がつくのですが、勇魚としてはもう少し彼女に幸せな日々を送ってもらいたかったです。どう考えても、ソースケにはかなめ以外考えられないとは思うのですが、それでも、ソースケに思いを寄せるテッサ嬢の姿がとても幸せそうだったので、もう少しだけ、決着は先延ばしにして欲しかった。単なる勇魚のワガママですが。
 まあ、彼女の元気な姿は短編シリーズの方で見られると思うので、そちらで我慢することにします。

 ミリタリー好きな人にはぜひぜひオススメの一冊です。
( 正樹 勇魚さんの紹介ページへ )


Surreal /
   ライトノベルで軍事スリラーをやりつつロボットものの要素をブチ込んで、その上で女の子と学園生活しよう!!

 こう書くと、ものすごく無茶苦茶。
 売れそうな要素をごった煮すりゃいいと思ってんかゴルァ!という声も聞こえてきかねない勢いではある。

 が、しかし。それをきちんと書いてみると、どうだろう?
 書きたい事をしっかり押さえつつ、しかし、あくまで口当たりにも配慮して。

 その設問の答えに至る道。
 その一つは、ここにある――かもしんない。

( Surrealさんの紹介ページへ )


有里 /
  マデューカスさんの勇姿と気の毒なテッサたんにこの一票をささげます。
( 有里さんの紹介ページへ )


すめらぎ /
   この巻が特別に良いというわけではないですが、シリーズ10作を超えたにもかかわらず、連載当初の勢いを残したままという希少な存在ってことで。
( すめらぎさんの紹介ページへ )


Se27 /
  作者はエンターテイメントのツボをしっかり押さえている。シリーズが進んでも、だれずにいるどころか、どんどん面白くなっているのが(あたりまえのことなのかもしれないが)すばらしい。ライトノベルかくあるべし、という一作あげろと言われたら自分は文句なしでこのシリーズを選ぶだろう。誰にでも薦められる。

ちなみに本作は某キャラファンにとっては少しだけ哀しいクリスマス。シリーズの方向性が変化し、物語はここからクライマックスへと盛り上がっていくようだ。
( Se27さんの紹介ページへ )