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ネザーワールド カナリア
著者 |
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東佐紀 |
絵師 |
: |
唖采弦二 |
ISBN |
: |
4-08-630142-3 |
page |
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357p |
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工藤 智和
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スーパーダッシュ文庫の数少ない正統派といってよいでしょう。舞台は近未来で、地下世界です。鉄道が一般的な交通手段になっています。 簡単なあらすじを説明しますと、主人公がさらわれた少女を奪還するために未知の地下世界に行くアクション物、というこうやって書くとごくありふれたものです。 でも、侮る事なかれ。この地下世界の設定を、その駅(移動手段が鉄道だけなので)ごとに一つ一つ丁寧に説明してくれます。キャラクターも魅力たっぷ りです。最近伸び悩んでいて悩んでいる主人公の音楽家に、女の人にだけ優しい地下世界の案内人、歌声で人の五感全てを刺激することのできる少女等々。 あと、特筆事項として主人公が音楽家なので、音楽それもクラシックが頻繁に登場します。私はその手の情報に疎いので、作品中に出てくる作曲者が実在の人物かどうかは分からないのですが、そのあたりの描写を見ていると作者さんの音楽に対する愛情を感じます。読みながらその旋律が耳のほうまで届くような気さえしてきます。それに心理描写を上手く音楽と重ねているので、特にクライマックスのシーンなどはお勧めです。 近未来物でありながら、全体に渡って神話を読んでいるような、そんな荘厳な印象を受けます。スーパーダッシュ文庫ということであまり知名度が無いみたいなのですが、完成度で言ったらリングテイル並です。ぜひ一読してみてください。 |
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ほろほろ
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人間の冒険心ってやつは実のところ、あさはかで、安っぽく、どこまでも個人的なエゴと欲求にささえられた、経過がどんなに深刻でも終わってみれば飲み屋のホラ話として自分を五分間だけのヒーローにしてくれるあとくされのないものだったりする。そんなわけで、この小説、ネザーワールドも終わってみれば、冒険の報酬は美女のキス、そしてキスを味わった数秒間だけの男の甲斐性。大げさでいて罪がない、そんな小説が読みたい貴方に。 |
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十八
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サイバーパンクな世界で展開される音楽SF。 音楽SFとしては多少掘り込みが薄く、オチには陳腐と思える面もありますが充分評価に値する作品だと思われます。 |
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くわね@まるち
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土木屋の夢が実現したような大深度地下が発展した世界。物語の舞台はほぼすべてその大深度地下なのだが、薄暗い印象はほとんどない。澄み切った光のイメージがあるのは、「音楽」というもうひとつのテーマによるものだろうか。 |
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丼
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夏ごろに出たということも重なってか、個人的にかなり良かった。発展していく地下世界、人外の力を持った異能力者、そして、音楽。こう言うビルドゥングス・ロマンは大好きです。 |
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