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遠征王と隻腕の銀騎士 運命よ、その血杯を仰げ
著者 |
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高殿円 |
絵師 |
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麻々原絵里依 |
ISBN |
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4-04-445007-2 |
page |
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287p |
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桂
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主人公オリエの性格と、それを取り巻いている人間達がいい味を出してます。この巻は怒涛の展開なのであっという間に読んでしまいましたが、何回泣かされたでしょうか…。 |
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リン
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人気のある作品がとかく肥大化しがちな中、全5巻ですっぱり物語をまとめた構成に拍手を! 主人公オリエを中心とした人間関係を描きながら、同時に彼らが生きる国の情勢を淡々と語る点が良いです。どちらか一方だけだったら、このシリーズはここまで面白くなかったと思います。 |
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高
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遠征王シリーズ最終作。 シリアスで暗いストーリでも最後まで前向きな部分も失わない進行で安心して読めました。 面白かった。
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シュガー
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「遠征王」シリーズ最終巻。ちょっぴり重苦しい空気を残しつつ、最後は一巻目の雰囲気に近づいたようだった。とにかくすっきりと着地できていたように思う。 |
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湖瀬
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遠征王シリーズの最終巻。
硬そうに見えて、でも柔らかくて、でもやっぱり硬いんです。 硬そうに見えるのは、文章。 後書きで高殿氏ご本人も気にされているように、漢字の含有率も高く、文語として整っている印象が強い文章です。私には。 でも、主人公男装の女王様、温泉が大好きだったり、花園を持ってたり、市井で女の子口説いたり何だか笑えます。(元)騎士団長に付き従う筋肉コック集団の忠誠ぶりの可笑しさは、このシリーズの名物だったりします。 そういう、硬い文章が綴る、壊れたような人物の描写が間だ間だに挟まって、文章の硬さを和らげています。 でもでも、やっぱり硬いのです。 それは作品に一本、太い柱があるから。 非常にテーマが明確です。 この物語は、主人公の女王様アイオリアの、自立の物語だと私は読みました。 王として即位するには、王の血統に繋がることが必須の王国で、アイオリアの血は薄く、それ故に本来受けるべき愛情を得ることが出来なかった。 誰かに必要とされること。王として王国に、人民に必要とされること。最愛の従姉妹に必要とされること。それが彼女の生きる意味だった。 だからこそ、死を求められれば容易に与えてしまう、それほど不安定な彼女が、過去の剄から開放され、最後に自ら欲するものを見つけ、そして旅立つことが出来た。
『運命よ、その血杯を仰げ』 は、そんなお話の、ラストを飾る一冊です。
ジュブナイルの典型的な物語構造を持つ話ではあるのですが、硬軟なコントラストが魅力的で、シリーズを楽しく読み切ることができました。
そして、もう一つ、この物語で語りたいこと。 それは、王の構造です。 遠征王シリーズは、パルメニア国の中世を描いた話とするなら、前シリーズは近世なのでしょうか? 主人公の王が、自分の存在意義について悩む話で、ある「遠征王シリーズ」とある意味共通する構造を持つ話ではあるのですが、中世の王アイオリアは「血統」に悩み、近世の王アルフォンスは王としての「執政能力」の有無についての悩みが、物語の柱でありました。 中世から近世への王の歴史的変遷は「王の資質が神から与えられる王の奇跡の時代から、王個人の能力の時代へ。」とまとめることができるのですが、高殿氏の描くパルメニアの王は、まさしくこのように変化していて、ファンタジーとはいえ、歴史を描く以上、現実の歴史にも目配せをして物語世界を構築しているという点でも非常に説得力があって、読んでいてワクワクする物語です。
書店での取り扱いの少ないマイナーレーベルの、更にマイナーな作品ではありますが、お勧めです。埋もれてしまうのがもったいない作品です。
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