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作品評
第六大陸 2

著者 : 小川一水
絵師 : 幸村誠
ISBN : 4-15-030735-0
page : 350p


練馬 /
  順調に進んでいた下巻に比べて、問題山積みのこの下巻。
政治的問題に、人的損害に関する世間の感情的批判。そして、計画に伴って発生するスペースデブリの処理。正直、よく作中で全て解決できたなと思うほどの難題が次から次へと降りかかってきます。

ですが、この巻での目玉は「ヒロインの親子問題」これにつきます。
生い立ちや、頭の良さのせいで人より少し冷めてひねくれたようなものの見方をしていたヒロインが、不器用極まりない父親と、壮大な舞台での親子喧嘩を繰り広げての和解。それによって、論理から人情に目覚めるヒロイン。これです。

なお、二巻では、NASAの方々が、一巻の八重波社長並にカッコイイです。「私たちこそが人類の目、私たちこそが星をつかむ腕だ。政治的な力など借りる必要は、どこにもないのだ」といった演説等は、多少なりともあった作中のNASAへの悪印象を補ってあまりある物でした。

まぁ、なんだかんだ書いてますが、この小説を読んで一番強く思ったことは、「自分も宇宙に行ってみたい」です。
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with_14th_dream /
  ちょうどこの本が出た頃にもロケットだのなんだの、宇宙に関わる
話が周囲で会話されていたため非常に感慨深い作品でした。
月面上に作られた結婚式場もそうですが、作品のそこかしこに描写
された現代に似て異なるエコロジカルな世界観が不思議な魅力を
放っています。
この作品のような月面都市作成計画が実行に移される頃、現代は
どう変わっているのでしょうね。
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こくぼ /
  よく創りこまれた作品。読んでいて心が震えた。
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御霊よしつぐ /
  地上から宇宙へ。揺籃からの雄飛と黎明の訪れ。
同様の主題で描かれた作品としては谷甲州氏の軌道傭兵や航空宇宙軍史などもありますが、それらの作品が現実の延長線上として宇宙開発の――其れに携わるのは必ずしも軍人ではなく、科学者や技術者であるにしろ――軍事的側面を強く感じさせるのに対して、この作品では宇宙を地上の様々な争いの影響を受けつつも、それを断ち切ろうとする理想を体現するための場として描こうとしている点で独特であり、強く推したいと思います。
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siroaki /
  月に結婚式場を作る話の2巻目にして最終巻。
月にベースを築いて、結婚式場は着々と完成へ向けて、
という風には、小説だからいくわけがない。
ということで、妨害、事故とあらゆる不足の事態が起きる。
1巻目に比べるとトラブルが盛りだくさん。
トラブルを解決しながら、目標を達成するという
黄金のパターンです。
最後のあれは、ちょっと大風呂敷を広げすぎな部分というか、
ちょっと蛇足な気もします。
2巻を通じて思うことは、
月で暮らすことは別に不可能ではないという思いが
強くなったこと。
宇宙に人類が出て行く動機がないということで、
有人の宇宙飛行は否定されがちだけど、
地球だけじゃ、人類は狭い。
将来、そうなったときの礎を今のうちに築いておきたい。
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高森太郎 /
   宇宙開発の夜明けを描いた物語。

 「科学の命題」「宇宙の謎を解く」などということではなく、日本の極地でさまざまな実績を誇る建設会社が、レジャーランドを経営する企業をスポンサーに、月に「結婚式場」を作るという。
 何かの特別な組織ではなく、リアルで現実で、すぐそこにあるただの民間の「建設会社」という存在が、自分たちの仕事と、誇りと、能力を用いて、今人類が到達しうる一番の極地へと挑む。


 物語の中では、チューブの中に車が走ることは無いし、みんなが当たり前に反重力とかを使っているわけではない。しかし、エコロジーな素材ができて、自然エネルギーが日常にあり、人々は深海と言う世界を手に。そのような、現実に感じられるすばらしい未来像がある。そしてそこで宇宙へ。

 自分が読んだ中では、期間年度ベストSFです。
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仮面の男 /
  1とどちらに入れるか迷ったのですが、
やはり物語が素敵な着地点に降りた2に一票を投じます。

限られた予算、様々な障害を乗り越えて、物事を成していく
人たちの姿は、私のようなすれた人間にとても眩しくうつり
ました。

願わくば、私も夢を失わない人間でいたいものです。
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大山 /
  小川氏の作品からはこれを。
現実的な予算で(しかもプロジェクトから考えるとかなり安めの)
月へと向かう、燃えます
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Y君 /
  SF好きの夢。月旅行への具体的な手引書です。
月に人間の住める施設を作るにはどうすれば良いか?
その金額、方法、道具などなど現在の科学を使ってどうするかが事細かに調べてあります。
しかも出てくる人々が最高にかっこいい。
自分の仕事を最高の状態で仕上げようとするプロフェッショナルな人々が作り上げる傑作群像劇です。
2巻は月面施設の建築とその利用方法です。
途中、様々な壁にぶつかりますが、ラストは感動にうなること間違いなしです。
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