七姫物語 第2章 世界のかたち
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ひとりの少女の目をとおして綴られた仮想歴史小説。
物語は、こうだ。先王が崩御し、継ぐもののいなくなった国家、そこでは、七つの都市がそれぞれに『先王の隠し子』とされる姫を後継者として擁立し、国を七つに分けての争いが始まっていた。そのなかのひとり、七宮カセンの姫として擁立されたのはまだ九歳の名もなき孤児。カラスミ、という名と、姫巫女としての地位を与えられた少女は時代の流れに翻弄されつつも、強く、たくましく生きていく……
仮想の国の仮想の歴史を記しているが、作品のもつ雰囲気は『十二国記』(小野不由美)というよりは『後宮小説』(酒見賢一)に近い。 歴史ものではあるが、読者の視点を主人公のカラスミという少女の視点にリンクさせることで、適度にフィルタリングされているため、歴史もの特有のドロドロした感じは薄い。むしろ、少女特有の澄んだ、透明感に満ちた空気を心地よく感じることができる。
この2巻では1巻で綴られた世界観と人物たちをベースに、より細かい、内面的なものを描いているので、登場人物の心の動きや、息づかいなどを前作以上に感じることができる。
今節イチオシの一冊。
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世界で一番優しい機械 Soft Machine
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病院を舞台にした、やさしいひとたちと、やさしい機械の、やさしくない世界への抵抗運動。 これ以上は、何を言ってもネタバレになりそうなのです。 もし、上の一文でちょっとでも興味が湧きましたら、どうぞ書店で手に取ってみてくださいませ。
やさしい気持ちになりたいひと、良質のおはなしを読みたいひと、どうぞ。 |
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ぺとぺとさん
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妖怪と人間がいっしょに通う大曲垣峠中等教育総合校(通称マガ校)に通うのはいっぷうかわった生徒たち。いとしいものと触れあった肌が「ぺとっ」とくっついちゃう「ぺとぺとさん」のぺと子、九州の任侠カッパ娘沙原くぐる、美少女ぬりかべのぬりちゃんとその妹のこぬりちゃん、他にもずんべらぼうにサムライゾンビetc、雑多な妖怪たちと、それをとりまく人間たちの日常生活はいつも騒動に満ちあふれているのであった--
個性の際立ったキャラクター群で描かれた学園もの。『聖エルザ』のようなストーリー性も、『蓬莱学園』ばりの巨大学園もこここにはないけれど、それらにも比肩しうるだけの魅力的なキャラクターたち、田舎の学園で描かれる彼等の学園生活はどこか『きんぎょ注意報』(猫部ねこ)を彷佛とさせる。
話題の大作ではないし、伝説の名作でもないかもしれないけど、ほっとできる物語、こーゆーの、好きなひと、けっこう多いと思いますよ?
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導きの星 IV 出会いの銀河
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未来の世界で、未発達な惑星に住む原住生物を育成する物語の完結編。
人類史さながらに繰り返される過ち、C・O(文明観察官)辻本司の意志を離れて加速して行く文明、主人公は別の勢力によって育成された文明により引き起こされる恒星間戦争、混迷を極める状況の中で、辻本は自分達の文明に仕掛けられたある事件の真相を知る。そのとき彼は−−
SF読みたいならこれがおすすめ。 |
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きみとぼくの壊れた世界
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「私は、この本を推薦しない。もし、あなたがいままで狂気に犯されたことがなく、これからも健全な精神を保ちたいのなら、絶対にこの本を読んではいけない。」
この本には常識で考えれば「壊れた」人間が多数登場する。読者は、あなた自身の倫理観により、不快と感じるか、あるいは、不幸にもなじんでしまうか、の二者択一を迫られるであろう。
この本に描かれる「狂気」を不快なものと感じる、正常な倫理観を持つ人間が読めば、たいした影響を受けることはないだろうが、しかし、この本を面白く感じることもないだろう。それは、幸福なことだ、なぜなら『金を無駄にした』と思うだけでそれ以上の悪影響を受けずに済むのだから。
この本に描かれた「狂気」を快く-あるいは面白く-感じてしまった人間には、以下の言葉を捧げる
ようこそ『壊れた世界』へ
この本は、「壊れた」登場人物に魅せられてしまった可哀想なあなたのための本である。「狂気」に魅せられ、それに耽溺してしまった人間がその「狂気」に溺れ、自慰行為に耽るために読む本である。そうした人種にとっては、この本は、このうえなく心地よい、天上のネクタルのごとく甘美なるものに思えるだろう。 だが、おぼえておこう、この時点で既に、あなたの精神は本の「狂気」の影響を受けている。 それを厭うならば、いますぐにこの本を閉じ、本の存在を二度と思い出さないようにするといい、時間がやがてあなたの精神を癒してくれるだろう。 もし、「狂気」に犯される自分を厭わず、受け入れるのならば。このまま突き進むがいい、あなたのためのネクタルはまだまだたくさんあるのだから。
長くなってしまったが、最後に、読む人にも、読まない人にも、既に読んでしまった人にもこれだけは伝えておきたい。
『この』ライトノベルがすごい! |
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七姫物語 第2章 世界のかたち
(イラスト評)
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宮崎駿のアニメを彷佛とさせるイラストが、透明感のある本編に上手くマッチしている |
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天使時間
(イラスト評)
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ともすれば平坦になりがちな内容が、良質のイラストで際立った。 イラストが本編に勝った一例 |
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イスベルの戦賦 <天の踵>よ、来たれ
(イラスト評)
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ともすればイラストなしでも充分に成立する物語をさらに際立たせることに成功した。秀逸。 |
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ぺとぺとさん
(イラスト評)
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肌のやわらかさが実感できるイラスト、世界に合っている。 |
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クレギオン 1 ヴェイスの盲点
(イラスト評)
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富士見版と見比べるとよく分かる。 イラストの力の大きさ。 富士見はこの作品をライトノベルとすることに成功し ハヤカワはこの作品を本格SFとすることに成功した。 どちらもイラストが秀逸なので、できれば両方見てほしい |
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