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森山雅文 《mori_yan@st.cat-v.ne.jp》

▼プロフィール
19歳、男性。


推薦図書
・ 銀盤カレイドスコープ vol.2 フリー・プログラム:Winner takes all?
・ 灼眼のシャナ 2
・ イリヤの空、UFOの夏 その4
・ マルドゥック・スクランブル The Third Exhaust-排気
・ 涼宮ハルヒの憂鬱


イラスト評
・ 麒麟は一途に恋をする
・ 灼眼のシャナ 6
・ テイルズオブデスティニー2 蒼黒の追憶 下
・ フルメタル・パニック!(13) 安心できない七つ道具?
・ 涼宮ハルヒの退屈




銀盤カレイドスコープ vol.2 フリー・プログラム:Winner takes all?
  銀盤カレイドスコープvol.2

 この小説はフィギュアスケートを題材とした小説である。ライトノベルにおいて実在のスポーツを題材と

すること自体、無謀とは言わないまでも現状では非常に珍しく、リスキーな試みであろう。
 ところで、フィギュアスケートの女子選手といえば、一体どのような人物像を思い浮かべるだろうか。一

般的には、一瞬の輝きのために人知れず努力を重ね、オリンピックに全てを賭ける、上品かつ生真面目な氷

上の淑女といったようなイメージではないだろうか。かつて日本中に顔を知られた伊藤みどり選手も、この

ような印象を持たれる選手だったと記憶している。ロシアのように年端もいかない少女が五輪に出ることは

ほぼありえない国でもあるし、まあ大体ここいら辺りが最大公約数だろう。
 さてさて。では、この作品の主人公たる桜野タズサ嬢が一体どういう女の子であるかというと、容姿端麗

スタイル抜群100億ドルの美貌の16歳にして、本番に弱くて高飛車で短気で負けず嫌いで喧嘩っ早く口が減ら

ないコであるわけだ。
 さあ困った。こんな性悪を主人公にしてフィギュア小説を書けという。およそスポーツモノの常道からか

け離れた試みだ。過去数十年、スポーツというものが日本の物語に登場してから、スポーツモノの主人公の

大多数は真面目な努力家だった。やっぱりそのほうが形として分かりやすいのだ。女の子なら尚の事。そう

いえば、フィギュアスケートを文章のみで表現するというライトノベルとしては未踏の領域に挑戦しなけれ

ばならないんだった。そもそもフィギュア小説なんか誰が読むんだよ。はてさて、どうしたものか。

 しかし、この作品が先天的に抱えるこれらの問題を、その存在のみで解決しているキャラクターがいる。

そう。物語冒頭でタズサに取り憑く幽霊、ピートである。彼こそが、まだ勝手がわかっていない読者を引き

込み、タズサの欠点と同時に長所をも表出させ、子供じみている彼女を成長させ、そして、共にあの衝撃的

なスケートシーンを生み出したのだ。そう。この作品を執筆する上で、スケートシーンの扱いが大きな障害

となっていたであろうことは想像に難くない。しかし、ピートの存在がそれを救っている。彼の絶妙の茶々

と合いの手が素晴らしいリズムとテンポを生み、結果として、目の前にスケートリンクが立ち上がる錯覚さ

え覚える壮絶な数分間を演出せしめた。この作品における最大の功労者は誰かと聞かれたら、僕は間違いな

くピートの名を挙げるだろう。
 そして、最初から予定されていた、その瞬間まで。桜野タズサは桜野タズサであり、ピート・パンプスは

ピート・パンプスであり続けた。その事が、一番嬉しかった事かもしれない。
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灼眼のシャナ 2
   『灼眼のシャナ』の魅力を列挙してみよと言われれば、可愛い女の子にコテコテのファンタジーアクションに意外とシリアスな展開、といったものになると思われるが、この巻はそれらの要素が最もうまく掛け合わされていた。
 伏兵・吉田一美の本格参戦に悠二の青臭い一人相撲、そしてマージョリーにラミーという来訪者が織り成すぐちゃぐちゃの状況がスッと開けたときの快感はまた格別。なんだかんだ色々あって結局元の鞘に収まるのはパターンといえば全くその通りですが、そのパターンをここまで見事に料理してくれれば文句の付けようもありません。最終局面での、二人の力強い戦いぶりが心地よいカタルシスをもたらしてくれます。自信に溢れたシャナの魅力的なこと!そして、これがあるから前半の落ち込みようが際立つのですね。シリーズの中では、総合的に楽しめる一冊。
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イリヤの空、UFOの夏 その4
   やめてくれ!そんなに楽しそうな姿を見せないでくれ!
 秋山瑞人の鬱系SFボーイミーツガールの最終巻は、後の地獄の苦しみを確信させる、あまりに幸福すぎる始まりを見せました。そして予想に違わず、次々に襲い来る絶望と後悔の嵐。もう勘弁してください。しかし、迎えた最後はハッピーエンドと言うべきだろう。最後の最後に、カッコいいところを見せてあげられたのだから。
 本主人公である浅羽と、裏主人公ともいうべき榎本の対立の物語としても読めるだろう。どこまでも子供だった浅羽と、悪い大人に徹しようとした榎本。きっとどちらもが正義だったのだろう。それだけにやりきれないともいえるのだが。
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マルドゥック・スクランブル The Third Exhaust-排気
   この作品の面白さというのは、集中、凝縮、そういったものなのだと思います。
 それが如実に現れていたのは、かのブラックジャックでしょう。ウフコックが、自身の「焦げ付き」を街の「焦げ付き」に重ねているように、バロットの「焦げ付き」、そしてそれと戦う意志、倒すべき敵、乗り越えるべき壁、進むべき道、そして人類の行く先までもが一枚のカードに託される緊張感はまさしく圧倒的。まさかギャンブルシーンで泣かされることがあろうとは想像もしませんでした。正直、その後の最終決戦が霞んでしまうほど。これだけのためにでも読む価値はあります。
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涼宮ハルヒの憂鬱
   この作品が分かり易い萌え記号で彩られたキャラクターをエサにして哲学的命題への答えを読者に迫る話なのか、あるいはSFもテーマ性も見せ技でキツいデフォルメの効いた女の子こそがメ

インの話なのかは僕にはわからない。しかしながら、この作品が『涼宮ハルヒの憂鬱』である以上、ハルヒこそが最も重要な登場人物であり、彼女の魅力が物語そのものの魅力に繋がっている

事は疑いない。
 彼女はエキセントリックを絵に描いたような少女である。「傍若無人な少女に周りの人間が振り回される話」と言えば、少なくともこの作品の表層を説明するには充分だろう。あるいは、そ

れが全てかもしれないというのがどうしようもなく不安なところでもある。
 要するに、僕にとってのこの作品に対する興味は、未来人や宇宙人や超能力者の登場を熱望し、この世の全てに辟易している涼宮ハルヒという少女が、最後の最後にキョンを選ぶかというた

だ一点に集約されるのである。そういう意味ではこの『涼宮ハルヒの憂鬱』の結末は半分だ。そしてその後、同『溜息』、『退屈』と続巻が出続ける中、この問いに対する答えは道筋も示され

ないまま放置され、不安を煽るエピソードが積み重ねられている。(勿論、それらのエピソードの一つ一つは魅力的で、ハルヒもみくるも長門も随分気に入ってしまったのだけれど。)
 しかし、敢えて都合の悪い可能性には目を瞑って、望む未来が待っていることを無責任に期待してこの一冊を推そう。今までの生かさず殺さずの進行を見るに、僕がただ谷川氏の掌の上で踊

らされている可能性も、全くないとは言い切れないだろうし。
 
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麒麟は一途に恋をする (イラスト評)
   言いたかないですが、正直絵と内容が釣り合ってません。
 電撃文庫さん、どうして椎名優と志村一矢を組ませたがるのですか?もう止めて下さい。イラストのためだけに買うこちらの身にもなってみてください。志村氏は個人的には好きな作家ですが、エース級を付けるのはもっと実力が付いてからにして下さい。
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灼眼のシャナ 6 (イラスト評)
   涼宮ハルヒシリーズといい、個人的に今最も作品が楽しみなイラストレーターといえるでしょうか。こちらも実にいい仕事をしてくれます。
 そして、意外や巨乳フェチなのか、こちらでも徐々に吉田さんの登場が増えてきています。しかしシャナより明らかにイラストの出来がいいのはいかがなものか。「吉田さんの絵が増えるんなら吉田さんが活躍してくれたほうがいいなあ」などと、本末転倒なことまで考え出す始末です。
 しかし本編の展開が……どうなることやら。
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テイルズオブデスティニー2 蒼黒の追憶 下 (イラスト評)
   これを純粋に小説のイラストとして評価したものかどうかは難しいところですが、絵師の実力はピカ一なだけに出来自体は素晴らしい。
 まあ、ゲーム版未クリアの僕でも十二分に楽しめたということで。
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フルメタル・パニック!(13) 安心できない七つ道具? (イラスト評)
   僕自身は長編派なのですが、作者は二人とも明らかにこっちのほうがノってるんですよねえ。とにかく楽しげなのが素晴らしい。長編の展開が徐々に息詰まるものになりつつあるだけに、こちらの息抜きも大事にして欲しいもの。
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涼宮ハルヒの退屈 (イラスト評)
   内容もまあ楽しみなのですが、やはり安心して見ていられるのはイラストのほうでしょうか。毎度いい仕事をしてくれます。
 明らかに気に入られているみくるちゃんは相変わらずの好待遇ですが、今回は長門さんが大きくクローズアップされました。メガネを外しても素敵ですね。本編の内容ともあいまって大幅に好感度アップ。
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