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作品評  /  イラストへの評を見る。
魔術士オーフェンはぐれ旅(20) 我が聖域に開け扉(下)

著者 : 秋田禎信
絵師 : 草河遊也
ISBN : 4-8291-1557-2
page : 326p


水波遥 /
  第一巻から追い続けたオーフェンシリーズの遂に終巻!感無量!です。
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トビー(偽) /
  もはや惰性で買っていた。
この巻も、ぱらぱらと読んだだけで本棚におさまっていた。

だが、ふと1巻から読み返してみた。
そして、ようやくこのシリーズの面白さに気づけた気がする。
1巻づつ読んでいてはダメなのだ。
なぜならば、1巻から20巻まで、まとめてひとつの話なのだから。

後半の、”世界の秘密”(アイルマンカー結界とか)の話に惑わされがちだが、これはあくまでオーフェンというひとりの青年の物語なのだ。


 絶望から逃げる旅から、絶望を終わらせる旅へ。

 オーフェンは、マジクは、そしてクリーオウは、いったいなにを得たのだろうか。
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こよこよ /
  個人的にこのシリーズを超えるライトノベルは存在しないと思います。きっちりと綿密に練って描かれた世界観と壮大でかつ複雑に複線が絡み合うストーリー。特に魔法と魔術の違いに関してこれほど明確に書き分けた事に関しては感銘を覚えます。また、主人公、脇キャラが魅力的な事もさるながら、万能キャラがいないことと強さのインフレを起こさず物語を完結させたことに。この2つに作品の凄さを感じます。
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koumei /
   オーフェン、本当にお疲れさま。魔術士オーフェンをずっと読んできた読者はみんな同じ気持ちだと思います。批評やらなんやらつべこべ言わず、ただ感謝の念と、完結した安心感と、一抹の寂しさを表したいです。ありがとう、と。

 
 
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うさぎや /
  ついに終了「はぐれ旅」シリーズ。こんな終わり方をするとは。前半「西部編」と比べると、登場人物の「在り方」が違ってきた感じです。登場人物も成長しているということでしょうか。
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ちょちょ /
  本編20冊その中で「じゃあ、アミダで決めるか」が一番好きな科白です。
本気で感動しました。全てがこの科白に集約されているって書いたら怒られそうですが・・・。
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crosis /
 
「一番好きな作品です」

オーフェンはぐれ旅はこの巻で終わります。だからこの本に投票したのは「オーフェン」というシリーズ全体のことを指し示していると思ってください。

オーフェン、クリーオウ、マジク。この三人は「旅」をします。
それはこの小説の中の世界に大きく関わる旅であるのと同時に、この三人が成長する旅と言ってもいいかもしれません。
特にオーフェン。彼はこの旅の中でとても成長します。

昔の塔にいた頃の欠陥品としての自分。オーフェンはそんな自分と向き合います。
チャイルドマンという超人の下で育った彼には、自分がひどく非力な存在であることを知っています。
ただ、彼は欠陥品であることを知るのと同時に、自分は未完成品であるということがわかります。
そして彼は、過去の自分の愚かさを認めるとともに、過去のしがらみから解放されます。

そして、物語の終盤である第二部。
聖域との戦いが回を重ねるごとにあらわになってゆく第二部ですが、大きく問題となるのは「絶望」です。
女神との戦いが近づくにつれて、誰もが「絶望」していきます。
だけれどもオーフェンは決して「絶望」しません。
神の不在、奇跡の皆無。だけれども彼は絶望しません。
そして彼は言います「奇跡はないかもしれないが、それと同じなにかがある」と。
その「なにか」は何であるかはわかりません。
ただ、彼はそれを見つけることができたと思います。

こうして彼、オーフェンは成長します。とても、とても、大きく。

また、クリーオウとマジクについては、成長する、という他にオーフェンとの関係の中で見出されるものがとても興味深いです。
オーフェンが、奇跡の代わりなにかある、と考えるようになったのは何より、クリーオウの影響でしょう。
マジクが一人前の魔術士になりたいと切望するのを、オーフェンは優しく見守ります。

これらをありきたりな「ファンタジー的な成長」と掃いて捨てるかもしれませんが、そんなことが気にならないほど彼らの生きる姿はかっこいいです。

オーフェンは自分で正義の味方なんてつもりはない、と言います。が、自分で見たものを判断し、自分を信じて突き進む姿はかっこよく、確かに彼は超人ではないかもしれませんが、自分にとって彼は「ヒーロー」でした。
それが自分個人のこの作品の魅力です。

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新月お茶の会 /
   富士見ファンタジア文庫の看板としてレーベルを牽引してきた功績に触れるのもいいんだけど、まあそんなことは半ばどうでもいいことなんだ。恐れ入ったよこのクライマックス。この世界語りスケールの最終巻、ハイテンションでハイスピードで、ともすればうっかり脱輪して読者の気が抜けてしまいかねない恐れがある中で、ストーリー上引っ張っていた事柄をもとに次から次へと取り上げ解決し間断なく展開を続け、終いには世界の全てをたった一つのシンプルな認識転換に流し込ませる、息を吐かせぬストーリーとストーリーテリングのその何と鮮やかなことよ。シリーズにおける圧巻であると共に、最終巻とはこうあって欲しいものという所を見事に体現してくれた。ありがとう。
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正樹 勇魚 /
   オーフェンシリーズの東部編の最終巻にして、長編完結作ですね。

 勇魚としては、正直東部編よりも西部編・キムラック教会編の方が好きなのですが、それでもこの最終巻を読んで、感慨深い気持ちになりました。
 多くの方々が、「尻つぼみ」だとか「ラストが期待はずれ」だとかの感想をあちこちで漏らしているようですが、実は勇魚もそう感じた一人です。やっぱり最後は、コルゴンとではなく、女神と直接対決して欲しかった……
 でも、読み終わってしばらくしてから、あれはあれで良い終わり方なのかな、とも思えるようになりました。ネタバレになるので詳細は書きませんが、あのゲームのテーブルをひっくり返すような反則技と、相手を倒すのではなく、上手くはぐらかして楽して切り抜けるという手段こそが、オーフェンの持ち味なのかな、と。

 哲学的な魔術理論と世界観が、勇魚はお気に入りなのですが、強さのインフレが起きないのも好きなところです。強い敵がいるからより強い力で〜という方法ではなく、強い敵がいるならやり方を変えて〜というあたりが、オーフェンにおける戦闘の描写に勇魚が惹かれる理由だと思います。オーフェンって決して最強ではないんですよね。魔術でも戦闘術でも、より優れた者がいる。でも、自分の足りないカードを駆使して、最後には勝つというオーフェンの姿勢は、派手な魔法でドンパチやる魔術師よりもかっこいいなぁ、と思うのです。

 より強い魔法、より強い技という戦いはちょっと飽きたな、と思ったら是非この本を読んでみてください。きっと『目からウロコ』なはずですよ。
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宗丸 /
  この上下巻で本編20冊に及ぶ物語は終結した。この結末、また、主に第二部の構成について納得の行かない人は多かったと思う。それは認めざるを得ないところであるだろう。であるが、それでもわたしは主張する。このシリーズは成功であったと。
それはひとえに、全編を貫いたオーフェンという主人公の存在感故にである。
この作品は、まさしく題名の通り、主人公オーフェンの物語であった。その視点から決して外れることなく、飽きさせることもなく、ただ一人の男の一つの成長を描いたサーガなのである。この作品の成否を決めるポイントはそこにある。
自己犠牲を否定し、勇者を否定し、「世界を救う」パターンのすべてを否定したその結論は、オーフェンにしか出来ないものであった。そして、オーフェンはそれしか選択しない、という必然性を備えるものであった。
また、その結論自体、類を見ない――しかし、素晴らしい。わたしはこれだけの説得力を持った救済の答えを、他にしらない。

超人は世界を救えない。世界など誰も救えない。
けれど、生きていくことは出来る。

たとえ構成が乱れていても(「悪魔」と「緑」は上下巻にするべきだったし、「来訪者」は一冊分も必要なかった)、たとえ細部があやふやなままであっても。
大事なところが大事なままに、思想が貫かれているなら、そしてそこ(だけでも)強烈な感動をもたらしてくれたのだから。
すべてを帳消しにして、なお評価を与える価値があるのだ。
そして何より約九年の感謝を込めて、わたしはこの作品に投票する。
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夏葉薫 /
   長さにより必然的に抱え込まざるを得なかった深刻な主題の数々をきちんと描ききって見せた大傑作。
 スレイヤーズ以降ブギーポップ以前の最高の達成であって、投票してない奴は正直モグリ。
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