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にわか読者の名無しさん

▼プロフィール
17歳、男性。
ライトノベルにはまってまだ二年半。一応二百冊程度は読んでるが、まだ地雷を躊躇せず踏めるほど経済的余裕が無いのが悩み。

推薦図書
・ AHEADシリーズ 終わりのクロニクル 1<上>
・ 悪魔のミカタ 11 It/ザ・ワン
・ マルドゥック・スクランブル The Third Exhaust-排気
・ ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹
・ 零崎双識の人間試験


イラスト評
・ AHEADシリーズ 終わりのクロニクル 1<上>
・ 撲殺天使ドクロちゃん
・ AHEADシリーズ 終わりのクロニクル 1<下>
・ バッカーノ! 1931 The grand punk railroad 特急編
・ AHEADシリーズ 終わりのクロニクル 2<上>




AHEADシリーズ 終わりのクロニクル 1<上>
   萌え小説=エロ小説ではありません。当然ですね。
 萌え小説=ライトノベルでもありません。微妙ですね。
 実際、ここ数年のライトノベルの大半が萌え要素を含んでいます。ティーンズ向けレーベルでは、萌えの中に微エロを含むのが基本のようです。(萌えの定義は割愛) ですが今から約五年前、全年齢対象、少年少女向けレーベルの電撃文庫で堂々とエロ小説を書いた野郎がいます。それが、川上稔です。(誇張無し)
 川上氏の作品は基本的に『少年少女の性長(成長)物語』です。倒すべき敵が存在し、パートナーと共にそれを打ち破ります。下手すればベタの一言で片付けられてしまいますが、氏は濃厚な舞台設定と、スピード感ある戦闘シーン、そして彼の小説では既にお約束と化したエロシーンで、傑作と呼べる作品に仕上げています。
 終わりのクロニクルも例に洩れず、主人公佐山御言(サヤマミコト)と、ヒロイン(?)の新庄姉弟、そしてその仲間達が、十ある異世界の住人と戦うお話です。前作、都市シリーズでは第二次世界大戦を下敷きにした話がいくつかありましたが、今作では、各地に根付いた神話を元に話を作っています。いわば、「川上氏の書く世界の神話」でしょうか。1では、北欧神話内のヴォルスンガ・サガが元になっています。
 1(上)では、約半分のページを使い、世界観等の設定や、歴史が語られています。そして、1(下)では、一つ目の異世界の住人との戦闘、決着までが書かれています。氏は、既刊十六冊(1(下)発売時)全てで戦闘シーンを書いてきました。その彼が描く戦闘は、スピード感に溢れ、終結までを一気に読ませてしまいます。
 さて、川上氏は既刊二十冊(現在)中、十三冊でエロシーンを書いています。全年齢向けでエロとはけしからんと憤る方もおられるかも知れませんが、このエロシーンは全て、書かれるべくして書かれたものです。必然です。つーかチャレンジャーです。1(上)では主人公の佐山が、新庄弟の胸を揉みしだきます。下巻では男風呂が舞台です。ヤバイですね。なお、BLではありませんのでご注意ください。
 ただ、氏の文章は読みにくいとの評をよく目にします。独特の文体と、地の文の視点が原因のようです。また、濃厚な設定が苦手な方は1(上)で投げ出してしまうとか。
ですが、個性溢れ過ぎるキャラクター達と、彼らが行う漫才。そして戦闘、エロス。熱さと笑いと萌え、この作品はライトノベルの重要要素全て含め、それを完璧に仕上げています。軽い設定のライトノベルは読み飽きた。そんな方にうってつけの、お勧めのシリーズです。

(単体の完成度としては1(下)が既刊では一番だと思い、これに投票いたしました)
 
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悪魔のミカタ 11 It/ザ・ワン
   吸血鬼の歴史は深い。そんなことは本読みの皆様は百も承知でしょうし、吸血鬼モノが今なお増え続けていることも理解しているでしょう。
 私はこの本を読んだ後にブラムストーカーのドラキュラを読みましたが、順番が逆だったとしても、読後の感動は変わらなかったと思っています。
 簡単にあらすじを述べますと、吸血鬼がとある町に襲い掛かってきます。その吸血鬼はバリバリ仲間を増やしますが、弱点の一つとして「招かれないとその場所には行けない」というものがあり、その町で増殖し続けるだけでした。そんな中、土地の名士の息子(小五)が、仲間の小学生達と吸血鬼に立ち向かいます。そんな話です。
 最大の問題は、この巻だけ読んでは話を理解するのが難しいことです。この巻から始まる吸血鬼編は、既刊での登場人物――本編の登場人物が直接舞台には現れません。しかし、既刊十巻を読まない場合、舞台の和歌丘という町の特殊性が理解出来ません。
 ですが、中身は非常に面白いです。異常な日常の描写、弱い者達の勇気ある戦い、そして終盤の連続どんでん返し。掛け値なしに面白いと言える作品です。うえおの新境地を見た気がしました。
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マルドゥック・スクランブル The Third Exhaust-排気
   日本SF大賞を受賞し、世間での知名度も高いこの作品に長々とした説明は不要でしょう。
 『運』という人生の要素を、単純に『運』として捉えず、深い人生観まで組み立てて話を作る。まだ二十代でこれだけのことが出来るのは、本当に素晴らしい。
 僕の読書人生で三本の指に入る『熱い』話でした。
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ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹
   分類上はミステリー、でもどうみてもライトノベルにしか見えない。そんな戯言シリーズ本編の最新作がこちらです。(発売したのは随分前ですが)
 主人公いーちゃん視点で、彼が語る『戯言』が地の文である戯言シリーズ。基本的に、登場人物に一般人はいません。皆、なにかしら特殊な能力、環境の下に存在しています。この各キャラの特徴づけの上手さに、西尾維新の才能を感じさせます。
 この作品では、今まで戯言しか言ってこなかったいーちゃんが、初めて戯言抜きの、本気の本音を叫びます。その叫びから始まるいーちゃんの更生シーン(?)は圧巻の一言に尽きます。泣けます。ちょっと泣きました。
 さて、戯言シリーズはミステリーですので人死にが出ます。毎回殺人事件が起きます。そして、いーちゃんが探偵したり痛い目に遭ったり戯言ったりしながら解決するのがこのシリーズの基本構成です。
 が、この巻で起きた殺人事件の被害者は、変な言い方ですが、ティーンズ向けレーベルのライトノベルならまず殺されないタイプのキャラです。(このキャラの死が、上のいーちゃん更生のきっかけとなります) ですが、その死に方があっけない。淡々と死にます。そして、死体の描写が、そしてその死体を見たイーちゃんの心理描写が残酷なまでに上手い。ここまで見事にキャラを切り捨てることが出来るのか。ティーンズ向けライトノベルにどっぷりはまっていた私は、この仕掛けに完全にやられてしまいました。ただ、読み進めると、この人物の死は必然としか思えなくなるのが不思議です。
 西尾維新のタチの悪いところは、見事なまでの予定調和、必然性で話を構成、完結させてしまう点だと考えています。「ここをこう書けば読者はこうなるだろう」と、狙って書いているようにしか思えません。全ての作家がそうだとしても、西尾維新の書く必然には、気持ち悪さしか存在しません。この読後の、吐き気のような不快感。それこそが西尾維新、戯言シリーズの、私にとっての最大の魅力です。この巻を読んで、初めてそれを自覚できました。正直、胸のすくような爽快な話を読みたい人間にはお勧めできません。
 また、いーちゃんの語りによる文章は人を選ぶそうです。私自身は突っ掛かることなく自然に読めましたが、文章が読みづらいと言う人も多いそうで。まず立ち読み等での相性判断をお勧めします。
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零崎双識の人間試験
   この作品は戯言シリーズの番外編なので、いきなりこれから読んでも無問題です。本編とのリンクは数箇所ありますが、それも本質に関わってくるほど重要なものではありません。
 さて、この作品のテーマは愛、それも家族愛です。愛とは何か。家族とは何か。兄弟姉妹とは何か。そんなことを語りかけてくれます。登場人物は全員殺人鬼ですが。
 この作品に出てくる『零崎』の姓。これを名乗る零崎一賊は、血よりも濃い絆で結ばれています。まるで任侠の徒ですね。殺人鬼ですけど。
 この作品の舞台では、人を殺すことは特別なことではありません。呼吸をするのと同じように人を殺します。それも登場人物全員。そんな設定に嫌悪感を覚える方は、この作品には向いていません。
 ですが、ティーンズ向けの恋愛小説、ほのぼのとした家族系コメディはもうお腹一杯、という方には非常にお勧めです。家族とは、血の繋がりとは限らず、また義がついたり十二人いたりとか、そんな生ぬるいものではない。そんなことを考えさせられる作品です。
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AHEADシリーズ 終わりのクロニクル 1<上> (イラスト評)
   スポーツ新聞風の口絵といい、箒を抱えた魔女(っ娘)といい、寝起きのパジャマ女教師といい、ロボメイドといい髭のオジサマといい、記号的な要素が非常に多いイラスト群。
 しかしまた、それが完璧にマッチしていて言うこと無しです。
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撲殺天使ドクロちゃん (イラスト評)
   本文だけではここまでイカれた作品になったかどうか。やはり、とりしも氏の描く可愛らしい天使達と「ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜♪」のギャップこそが、撲殺天使ドクロちゃんの面白さの元となっているのでしょう。
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AHEADシリーズ 終わりのクロニクル 1<下> (イラスト評)
   この本の著者の川上氏と、絵師のさとやす氏は同じゲーム製作会社に勤めている仲です。また、1998年の『風水街都 香港』以来十八冊、川上氏のイラストはさとやす氏が担当しています。長年一緒にやってきただけあって、文章とイラストの融合度はなかなかのものだと言えるでしょう。
 さて、今回川上氏の本は四冊投票対象になっていますが、どの巻のイラストが一番かと問われればこれしかないでしょう。
 さとやす氏のイラストは、やや太目の線で輪郭をとって全体的に丸っこいデザインになっています。キャラも目が大きかったり鼻が無かったりと、今風のデフォルメ絵といった感じでしょうか。
 しかし、最大の特徴は(一部が)妙にエロいことです。これは本文の描写が妙に詳細であることと相まってのことでしょう。先程挙げた丸みのある絵が、無駄にエロい本文描写と見事にマッチしているのです。
 この巻では銭湯シーンがあります。混浴ではありません。露天でもありません。お約束の覗きシーンもありません。しかも本文描写は男湯オンリー。何が楽しくてそんなモン読まにゃならんのか、とお怒りの方もおられるでしょう。ところがどっこい。この話は、両刀使いの主人公が、極端にロリロリした男の子の性別を物理的に確認する恐ろしい話なのです。少しでも興味が沸いた方はイラストだけでも立ち読みすることを勧めます。
 また、川上氏の本では口絵の最後に必ず何らかの企画が組まれています。この巻では三人のキャラがフ○ミ通式に架空のゲームのレビューをするのですが、何故か対象が十八禁ゲームとゲームウォッチ時代のゲーム。当然まともなレビューになるわけが無く、読者を笑わせてくれます。
 硬派な絵が好みの人には向いてないでしょうが、それ以外の方にはお勧めです。まず立ち読みしてみることを勧めます。
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バッカーノ! 1931 The grand punk railroad 特急編 (イラスト評)
   この特急編は、前編(?)の鈍行編の裏側を辿り、全てを表に出すという位置づけの作品です。つまり、いわゆる「オチ」がこの巻になるわけです。
 ただでさえ予想外のオチが、最高の挿絵によって補完されています。笑いが止まりませんでした。
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AHEADシリーズ 終わりのクロニクル 2<上> (イラスト評)
   47ページ目にして、いきなり見事な曲線の尻(男)を挿絵にするアホな作者&絵師&担当に脱帽。
 さらに裸ワイシャツ(パンツは穿いている)の女の股に手ェ突っ込んでる挿絵を描いているあたり、もう怖いもの無しだなあと。
 あと、この表紙の子は 男 です。
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