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作品評  /  イラストへの評を見る。
バッカーノ!1931 鈍行編 The grand punk railroad

著者 : 成田良悟
絵師 : エナミカツミ
ISBN : 4-8402-2436-6
page : 333p


高橋誠 /
  走り続ける列車を舞台にした、深い思い込みをもつものたち同士(プラス怪物)の激突を描く、ひねりのきいた笑劇。「バッカーノ! 1931特急編 The Grand Punk Railroad」と表裏構成のセットで評価したい。
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枕返し /
  このバッカーノ!1931は鈍行編と特急編二つ合わせて読むべきです。
いうなれば親子丼の肉と卵、カツカレーのカツとカレー、きつねうどんのお揚げとうどんのように切っても切り離せず、1+1が3にも4にもなります。
荒削りな部分はありますが、それを補って余りある圧倒的な構成力と魅力的な人物、そして話し自体の勢いで一気に読ませてくれます。
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ソウモトミユウ /
  バッカーノ!シリーズは構成力と勢いがすごい。
誰が主人公なんだといわれても誰とも言えず、いうなればすべてが主人公である。大量の主人公、モブ達がさまざまな物語をくるくると展開させていく。読んでいてどこがどう繋がるのか分からない曖昧さがラストで見事に収束されて「ああ、そうだったんだ」と納得させてくれる。鈍行編は急行編とあわせて読むと途中から文章からいなくなってしまった人たちがどうしたか、ラストで何故そうなったのか、そこをカバーしていて二冊でおいしい作品だ。
この作品で出てくるキャラクターは前作、そして次回作に繋がっていてそれに違和感が無く、心の中にストン、と落ちてくる。
違和感のない物語展開とキャラクターたちがどたばたと繰り広げる様はどきどきさせてくれる。

と思います。誤字脱字が凄いらしいのだけど私全く気付いてません(苦笑
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月季 /
  アガサ・クリスティを思わせる豪華列車で起こる事件の数々。
でも一筋縄でいかぬ連中のおかげで、全然先が読めなかった。ついでにいうと一気読みしてた、1時間ほどで。
読了後、すぐに特急編を買いに走ってしまった。これだけでも十分なのだが、2冊そろうと気持ち的にスッキリした。
作者も言っていたが、一作にあるまじき登場人物の多さ。2冊でないと、フォローしきれないのもうなずける。それが苦にならないのが不思議だった。
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成瀬洋一郎 /
   線路沿いに転々と散らばる死体。それは特急列車に乗り合わせた、ギャングに、秘密結社の構成員に、街の不良少年グループ、そして逃走中の列車強盗による列車争奪戦の産物だ。しかし何かがおかしい。これだけでも危ない連中が多すぎるというのに、まだ誰かが潜んでいる!? そいつは機関銃や爆弾を手にした危険な連中をこともなげに引き裂いているかのようだ……。姉妹編「特急編」と合わせて読むと、すべての謎が解け、面白さ3倍のノンストップ・アクション(鈍行だけど)。
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CAX /
  珍妙な格好をしたカップルが話していた。
「なぁミリア」
「なに? アイザック」
「知ってるか? 東洋には『このライトノベルがすごい!』って、Webサイトがあるしいぞ」
「えぇー、すご〜い!」
「そうなんだ、最も“軽い”小説はどれかって、投票で決めようとしているらしいんだ」
「じゃー私達も参加しようだね!」
「……しかし、問題があるんだ」
「問題って?」
「最も“軽い”小説を決めるってことで間違いないと思うのだが、どうやら誰も重量による軽さを競っていないようなんだ」
「えぇー、じゃー“軽い”って、重さとかの意味じゃないの?」
「そうみたいなんだ。俺は日本語が得意じゃないから、フィーロに確認してもらったところ、やっぱり重量の“軽い”の“重い”ので、競っているわけではなさそうなんだ」
アイザックと呼ばれた男は、空が見えない天井を見ながら、両手を広げ仰ぎながら言った。
「そこで俺は思った。重量とかではなく、内容の“軽さ”で勝負しているだとね」
「わあい、アイザック賢ーい!」
得意げな顔をするアイザック。ミリアと呼ばれた女はアイザックを褒め称える為に拍手しながら同意して応えた。
「そっか! 内容の“軽さ”なんだね!」
ミリアのその言葉を聞いて、アイザックも嬉しそうに言った。
「そう、内容の“軽さ”なんだ」
そしてアイザックは自分が思いついた言葉を続ける。
「そこで“軽い”小説となると、俺が思いつくのはアレしかないんだ」
ミリアも同じように応える。
「私もアレしかないね!」
「じゃー、3・2・1で、お互いが思っているのを言ってみるか。3・2・1……」
「「『バッカーノ!』」」
「そうだな!」
「そうだね!」
「じゃー、これからWebで投票しよう!」
「投票だね!」
「ー人五作品投票できるらしいから、俺とミリアで二人分の十作品投票しよう!」
「じゃー、私とアイザックで更に二倍の二十作品、投票できるんだね!」
「そうさ、『バッカーノ!』に二人分の投票二倍分で二十回投票しよう!」
「二十回だね!」


彼ら二人が話していたすぐ側のテーブルでは、男達がポーカーをしていた。
ポーカーをしながら、彼らの会話を聞いていたその中の一人が呟いた。
「やっぱり、あいつら馬鹿だよなー」
同じくポーカーをしていたその周りに居た者達は、無言で頷くことで同意を示した。
ただその顔々は、馬鹿にしたようなものではなく、優しい笑みを携えていた。


私はそんな光景を、NYのマンハッタンのとある場所で見た。

初めての海外出張で来たNY。私はNYに来ること自体が初めてだ。
NYの仕事先の相手は、そんな私を歓迎する意味で、飲みに連れていってくれた。この辺りは日本とそう変わりがない。気分良く仕事を終えたら酒を飲むのは万国共通だ。仕事でムシャクシャしたときに酒を飲むことも万国共通なのだが、今回はそれには当てはまらない。
とにかく初めての場所、異国の地、飲みなれない酒、そして蜂蜜の甘い香りが漂う店内は、私の中にある期待と不安を、より色濃く混ぜ合わせるように、そんな不思議な気分にさせてくれた。

しかし、そんな想いはまるで見当外れのように吹き飛んでしまう。
これから巻き起こる“馬鹿騒ぎ(バッカーノ!)”によって……。


―――――ニ〇〇四年四月二十日、NYマンハッタンのバー「蜂の巣」より




成田良悟
バッカーノ! 1931 鈍行編 The grand punk railroad(ISBN:4840224366)
http://shop.mediaworks.co.jp/ds_index.php?isbn=4-8402-2436-6
というわけで(どういうわけだ?)、『バッカーノ!』に一票!!
こちらは鈍行編は「表」と言える作品。勿論、「裏」である特急編にも投票してます♪




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kaiei /
  大陸横断鉄道、フライング・プッシーフット。
そこで起きた事件を「鈍行編」と「特急編」
の2冊の本を使って描いたのがこの作品です。
こちらの「鈍行編」は「特急編」で明かされる
様々な謎の伏線が見事に張られており、
そのストーリー、キャラが双方共に見事に組み合わさって
実に痛快な作品になっています。
こちらの主人公はジャグジー。
実に魅力的な青年です。
そして「鈍行編」最大の謎のクレアの正体やいかに。
全ては「特急編」で明かされる―――
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有里 /
  限定枠の原稿を書いたときには未読だったのですが、その後で読んで唸りました。超絶的な構成力とツボを押さえた人物造型に脱帽! もちろん「急行編」とセットであることが前提です。
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優(YOU) /
  読んでて楽しかった。今までにない作品。
バッカーノシリーズは他も面白かったけど、特にこの鈍行編&急行編という2つの視点での物語は1つの話を2倍にも3倍にも楽しめた。
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NaruTo /
  念入りに前置きを設定し、さぁ本編へ!という構成。
どきどきしながら読めます。
3勢力が食堂でいっせいに・・・のシーンは
おもわず吹き出しました。

ただ、後半や結末の部分が妙に薄っぺらく、
さまざまな疑問を残したまま終わってしまっている。
「特急編」をいっしょに用意して読むこと!
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Stella /
  謎は多いが単作でも楽しめます。
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t-snow /
   かなり多数のキャラクターを出していながら、一人一人の個性がきっちりと出ており、場面転換の多さにも関わらず読者を混乱させることなく話を収束させる構成力は見事という他ないです。
 特急編で謎を綺麗に回収していく様も非常に爽快だったのですが、しっかり一つの物語を終わらせつつ、うまく色々な謎を残して特急編を待ち遠しくさせた鈍行編の方が印象に残ったのでこちらに一票。
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YTS /
  次の特急篇か発行されるまでの1ヶ月、残された謎について考えをめぐらすことまで楽しめた作品です。特急篇もまた素晴らしい出来なのですが、待つことさえ楽しめたこちらをあえて推します。
これから読まれる人は、特急篇まで一気に読まれるもよし、あえてこの本に満載されたミスディレクションに挑戦してからにするのもよし、お好きな方をどうぞ。
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